がん患者生活コーディネーター、パーソナルビューティーアドバイザー・長内真弓さんインタビュー

なぜ、あなたは輝きはじめたのですか?
母の勧めでリハビリメイクを体験してから、外観を元気にみせれば心も元気になることを実感し、アピアランスケア(外観支援ケア)を学び病院に提案。
そこから少しずつ広まり、今では多くの病院で活動させてもらっています。
また肌の土台となるお手入れの大切さにも気づき、自然化粧品を使ったフェイシャルケアにも力をいれています。
がん患者生活コーディネーター、パーソナルビューティーアドバイザー・長内真弓さん
―― 現在の活動内容を教えて下さい。
がん患者さんのアピアランスケア(外観支援ケア)の他、自然化粧品の販売、フェイシャルエステ、肌についてのセミナーを行っています。
具体的には病院内で定期的にメイクセミナーを行い、抗がん剤中の患者様に外観ケアを行い、ウィッグの選び方などのサポート、メイクのポイントなどをお伝えします。
また患者様向け、医療者向けの講演も行っています。
病院外では、患者様を含め一般の方向けにも老人福祉センターや自宅マンション内のスペースでマンツーマンレッスンやメイクのご相談をお受けしています。
―― 患者様へのメイクというのは特別なものになるのですか。
私が抗がん剤の影響を受けた時は、髪だけでなくまつ毛までなくなっている状態で、肌も爪も真っ黒になり肝斑もひどい状態でした。
ウィッグひとつにしてもメーカーも種類もたくさんあり、選び方からわからないことだらけ。
一般のメイクでは補えない部分が大きいんです。
私は東京でメイクレッスンを受け、ガン患者支援の会社であるVOL-NEXにて1年かけてがん患者生活コーディネーター認定資格を取得する専門的な勉強をしました。
また、肌への負担がない化粧品を探しサンダースベリー化粧品というイギリス生まれのハーブや寒天などを原料とした自然派化粧品を知り、そこで肌理論や植物、エステの勉強をしてアシスタントハーバリスト養成講座を受講したんです。
こちらの化粧品はメイクをしたくないという患者さんや長時間勤務の看護師さん達にも肌の負担がなく、香りにも癒されるので疲れている女性の癒しケアにもなりますよ。
専門の勉強と肌の負担を考えられている化粧品を探し当てましたが、リハビリメイク自体の基本は一般のメイクと同じなんですね。
ポイントを押さえればどなたもできるようになります。
例えばウィッグの下は大量に汗をかきますので、眉毛やアイラインがすぐに落ちてしまう。
つけまつげも、元のまつ毛がなければ乗らないし、肌も過敏になっているのでつけられない。
そういったことをクリアできる普通とは違うメイクテクニックをお伝えするものなんです。
また、メイクをすることで取り戻せる内面の力も大きいです。
最初はうなだれていた方も、メイクをすると帰りには笑顔になって。
外観を作ることができると、自分を取り戻せ気持ちも明るくなれるんですね。
私はそもそも「がん患者さんにも安心できる場所をつくりたい」という気持ちがあって、そのコミュニケーションをとるツールがたまたまメイクだったという部分もあるんですよ。
―― セラピーという要素も強いのですね。最初の病院内でのスタートはどういう経緯だったのですか?
私が手術を受けた病院の担当医に、直接アピアランスケアの必要性を訴えたんです。
すると先生も「それは必要ですね」と同意してくださり、すぐに話が進んで。
その後医療関係者の間で口コミになり、特に営業することもなく多くの病院から依頼をいただくようになりました。
今では一般的になってきましたが、当時は外観のケアに取り組む病院などほぼなかったので、パイオニア的な役割も果たせたのかな、自分が乳がんになったのも意味があったのかな、と感じています。
病院内で集まると、みんなで年齢関係なくお話したり、メイクしてみようかと思えたりと患者さん同士のつながりができます。
同じ立場の悩みがある同士、ひとりじゃないんだと思える場所になればいいなと。
個人相談では男性の方もいらっしゃいます。
消えない眉毛を作ることができ、これで友達と食事ができる、と泣いていらした方。
母のやつれた顔を元気に見せてあげたいという娘さんからの依頼。
単なるメイクレッスンではなく、気持ちを上げることでQOL、生活の質を向上させることができるんですよ。
―― ご活躍がメディアにも取り上げられたと伺いました。
はい。
新聞への掲載をはじめ2015年 NHK「おはよう日本」ABCラジオでも活動内容を放送していただきました。
また思いがけず2016年グッドエイジャー賞大阪受賞という経験もさせていただき周りの方からも反響が大きかったです。
初めて受けた検診で見つかった乳がん
―― 現在に至るきっかけを教えてください。
私自身が2004年に乳がんに罹患したことですね。
友達から検診に一回ぐらい行っといたら?と言われ、初めてがん検診を受けたんです。
全く自覚もなくまるで予想もしていなかったのに、最初の触診で「このシコリが心配で来たんやね」と言われて驚いて。
そこから、手術、抗がん剤治療、放射線治療、ホルモン剤治療を経験し、治療中の外観変化だけでなく精神的なダメージも大きいものでした。
そこからリハビリメイクを習い、ウィッグのアドバイスなどQOLをあげる助けの必要性を強く感じ、アピアランスケアを学びはじめました。
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