錦心流琵琶全国一水会皆伝・薩摩琵琶奏者/荻山泊水さんインタビュー

なぜ、あなたは輝きはじめたのですか?
その後別の番組でも女性の琵琶奏者の演奏を聴き、自分でもやってみたいと思い教室を探しはじめました。
師匠の指導の下で長い年月をかけ修練を積み免状を取り、現在の活動に至りました。
気軽に琵琶に親しんでもらえる機会を届ける、薩摩琵琶奏者/荻山泊水さん
―― 現在の活動内容について教えていただけますか?
錦心流琵琶(きんしんりゅうびわ)全国一水会に所属し薩摩琵琶奏者として活動しています。年間数回ある定期演奏会、老人ホームなどへの出張演奏会への出演、また若手演奏家で企画する自主企画ライブなど行い琵琶を全国に広める活動を展開しています。
―― まず琵琶について教えていただきたいのですが、流派により特徴があるのでしょうか?
はい。全国にいくつかの流派があり錦心流琵琶全国一水会は、古典の物語を語るひとり語りの演奏を主にした流派になります。他流派では琴や三味線など和楽器との演奏やクラシックとのコラボ演奏を行っている流派もあり、その特徴は様々ですね。
―― 人前で演奏できるようになるにはどのくらいかかるのでしょう。
初伝から習得して、皆伝を取得できれば人前で演奏できるということになりますが、私は8年程かかりました。もちろん人によってその期間は違いますが、琵琶は演奏だけでなく歌がありますので、まずその声をつくるのに何年もかかります。
また歌本を読みこみ古典を語るという独特の技術も必要ですので、どうしても長い期間が必要ですね。
―― 若手自主企画の演奏会についても教えていただけますか。
琵琶を聴いたことがない方、琵琶に触れたことのない方などを対象にしたレクチャーも含めた演奏会、また舞台だけでなくカフェや雑貨屋さんのスペースをお借りして演奏するなど、気軽に琵琶に親しんでもらえるような幅の広い企画会を実施しています。
普段は古典曲を歌うことが多い琵琶演奏ですが、子ども向けにおとぎ語りを取り入れることもあります。
また春は春の演目、12月には忠臣蔵をといった季節感のある選曲でのプログラムや、平家物語をストーリー仕立てにした曲順で物語風に演奏を楽しむといった企画も行いました。
黒塗りの琵琶をかき鳴らす樹木希林さんの姿から
―― 現在の活動を始めたきっかけを教えてください。
12年程前かと思いますが、TV番組で樹木希林さんが黒塗りの琵琶をかき鳴らしている姿を観て「かっこいい!」と思いました。
また別の番組でも女性琵琶奏者が演奏していたのを観て琵琶に興味を持つようになりました。
自分でもやってみたくてネットで琵琶の教室を探しはじめたところ、タイミングよく私の師匠のホームページに行きつき、すぐにコンタクトをとりました。
その後、演奏会に招待していただき生の演奏に更に魅了され「これは習わなくては!」と強く感じてから習い始め、現在に至っています。
その後、琵琶という楽器があまりにも世間には知られていない現実を痛感してからは、もっとたくさんの方に琵琶を知っていただきたいと強く思うようになり自分でも活動するようになりました。
懐深い師匠との出逢いと憧れの女優
―― 現在の活動をする中で、転機となった人との出会いや出来事はありますか?
まずは師匠と出逢えたことです。
琵琶の世界は伝統や格式のある堅い世界でもあるのですが、私の師匠は新しい事自由な事にも面白がってOKを出してくれる懐の深い方なんです。
私たち若手がちょっと斬新な試みでの演出を企画しても「面白いじゃない、おやんなさい、おやんなさい」と後押ししてくれます。
そんな環境にあったからこそ私の活動も広げることができたのかなと思います。
また、憧れの人として大阪を中心に活躍されている女優の宮川サキさんという方がいます。
よく舞台を拝見させていただくのですが、ひとり芝居などは本当に刺激的で魅了されます。琵琶は演奏だけでなく歌で物語を語るものですので、声や語り、演技という素養も大切になります。
同じ演技者、舞台人として彼女のようなカッコいい人になりたいなと思います。
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