「福祉アロマケア心香」主宰/認知症予防アロマセラピスト・芳崎欣子さんインタビュー

なぜ、あなたは輝きはじめたのですか?
思うように支援を受けられず、不自由を感じて苦しんでいる利用者さんや介護者の人達。
自宅に帰れば、自分自身もまた介護をする家族側でしたし、毎日閉塞感に満ちて疲れきっていたんです。
そんなある時、仕事帰りにふとアロマスクールを見かけて「アロマを介護に活かせるかもしれない」と直感。
疲労困憊していた時期だったので、自分もアロマを必要としていたんですよね。
そうしてスクールに通い始め、アロマセラピストの資格を取得したんです。
アロマの香りで認知症予防!アロマセラピスト・芳崎欣子さん
―― 現在の活動内容について教えてください。
2014年に「福祉アロマケア心香(しんか)」を立ち上げ、認知症予防アロマセラピストとして活動しています。
内容は多岐に渡り、メインとしている活動は複数あります。
そのうちの一つが、高齢者・障害者施設での訪問アロマケアです。
すでに認知症の患者さんに対しては、複数人のグループを作り、アロマを使用した回想法レクリエーション(季節に応じた話題で過去の出来事とひも付け、記憶をたどって行く方法)も行なっています。
認知症だと近々の事は忘れてしまうのですが、幼少期や人生で輝いていた時期の話は覚えているんですよね。
複数で語り合うと脳が活性化しますし、他の方の話から色々と思い出す場合も多いんです。
また、回想法に加えてタッチケア(皮膚から伝わる優しい感覚や、心地よいと感じる触り方で癒していくもの)も取り入れていまして。
お友達同士で触れ合うと愛情ホルモンが出るので、「相手をもっと知りたい」という気持ちが強まり信頼関係が増す、という効果があります。
レクリエーションの最後には季節のお茶とお菓子をお出しするんですが、女性の方は特に喜ばれますね。
美味しいものを食べることで五感が刺激されますし、一緒に食べる人達とも話が盛り上がって親しさがさらに増す効果があるんですよ。
―― それは、素敵な時間ですね。他にはどのような活動があるんですか?
「アロマで高齢者・障害者・地域の子育てママへそして地域を元気にする」アロマ知己活性セラピーTataに所属。
対象者を高齢者・障害者・地域の子育てママに特化した、福祉アロマの協会に所属。
自分の知識や経験などを、同じく福祉アロマセラピストを目指す方達にお伝えする講座を開講しています。
あとは、各地域にある社会福祉協議会、老人会、婦人会、行政からの依頼で事業を行っている企業者様からのご要望で、「人生を健康に過ごすため」のアロマ講座を定期的に行なっています。
講座は一人で行う時もありますし、インストラクター仲間と共に行う時もあり、色々ですね。
講座以外の活動としては、夏祭りなど施設様のイベントで行うアロマハンドケア体験も開催しています。
イベントでは、特に介護者の方達に対してアロマケアをしたいと言う気持ちが強いです。
介護をする側であるご家族・職員の方の心にゆとりが無ければ、介護を受けておられる方の精神状態も安定せず、介護が成り立ちません。
自分自身の経験からその辛さがよく分かるため、介護者の癒しと言う部分にも力を入れて行きたいと考えています。
介護職時代に感じた保険制度の限界
―― ご自身の経験からと言うことですが、何か活動を始めようと思ったきっかけがあったんですか?
前職である介護職時代にアロマとの出会いがあったのですが、そもそも介護の仕事をする事になったきっかけは家族でした。
結婚して一人目を出産後、同居の義父に介護が必要になった事が全ての始まりです。
当時はまだ元気だった義母がメインとなって介護をしていたのですが、義母一人では難しいお世話もあって自分も手伝う事となりました。
その時に介護の大変さを目の当たりにして、「適切な介助法を知っておけばもっと楽になるのではないか」と感じたんです。
二回目の出産後、間も無くして義父が他界。
二人目が幼稚園に入った頃から、今後の事を考えるようになりました。
義母の年齢を考えると近い将来何があってもおかしくなく、その時は自分が軸となって介護をしなければならない事情もあり、ホームヘルパー2級(現・介護職員初任者研修)を取得。
下の子供の小学校入学を機に、学んだことを忘れない為にも、資格を活かし登録ヘルパーとして働く事に。
幼少期から認知症の祖母を見ていたので、自分にとって介護は身近なものであり、実際にやってみると仕事内容も向いていたんですよね。
すっかりその魅力にはまってしまい、更に上級資格である介護福祉士・介護支援専門員(ケアマネージャー)の資格も取得しました。
―― 介護の世界で、順調にキャリアを積み重ねていったんですね。
はい。
介護の仕事自体には、とてもやり甲斐を感じていました。
しかし同時に、介護保険という国の保険制度を利用する介護支援には、限界を感じる事が多くなってきて。
保険制度ではまかないきれない部分で不自由を感じている利用者さんや、疲弊していく介護をする人達。
そして、自分自身責任ある立場になった事で業務が増え、自宅に帰れば歳を重ねて弱ってきた義母のお世話も加わり、まさに疲労困憊でした。
子供達は大きくなってきて、何かと難しい年頃でしたし。
そんな閉塞感に満ちた毎日を送っていたところ、仕事帰りに偶然アロマスクールを見かけて、「これはもしかして介護の仕事で使えるかもしれない」と直感で運命的なものを感じたんです。
公私共に疲れきっていたので、自分自身も欲していたのでしょうね。
介護の仕事を始めてから、ちょうど5年ほど経った頃の事です。
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