お米屋さん『トラとウサギの茶飯事』店主・城直子さんインタビュー

地道な情報発信で壁を乗り越える
── 新たにお米屋さんをすると決めてからは、どのように準備をされたのでしょうか。
⼤阪や⼤阪近郊のお⽶屋さんを回っていろいろと話を聞きに行きました。
お⽶屋さんはどんどん廃業している時代なので、「今から⽶屋をやるの?」ととても驚かれましたが、お話を伺ったみなさんは、快くいろんな情報を教えて下さいました。
お世話になっているみなさまには本当に感謝しかないです。
── 準備を経て、実際にお店を始めてから最初にぶつかった壁は何ですか。
あまり壁と思ったことはないですが、夫の地元といってもほぼ知らない土地で何もないところから始めたので、開業してしばらくはお⽶を買いに来るお客様がとても少なかったです。
店構えがお⽶屋さんらしくないことも、影響していたと思います。
まずお店に⼊ってもらうにはどうしたらいいかを考え、あえて雑貨屋さんのような店舗を作りました。
お⽶屋さんでお⽶を買うという習慣がある⽅のほうが今はとても少ないと思ったので。
でもお⽶屋さんだと思わず⼊ってきてくださるお客様には、なかなかお⽶が売れなくて。
── その状況をどのように乗り越えたのでしょうか。
地道にFacebookやinstagram、ブログで情報発信をしました。
堺で出会ったご商売をしている⽅々や、⾼知のお友達、お店に来て下さるお客様⽅がSNS等で情報発信してくださったことも、とてもありがたかったです。
周りの⽅々に恵まれていることを、とても感謝しています。
5ツ星お米マイスターの資格取得が転機に
── では、活動をするなかで転機となった出会いや出来事があれば教えてください。
転機は、5ツ星お米マイスターの資格を取ったことです。
「資格を取ったらこういうことがしたいな」と以前から考えていたお話をいただけるようになりました。
また⾼知県の商品をたくさん取り扱ってきたことで、最近ですが、⾼知県のプロモーションビデオに出して頂きました。
⼤阪だけでなく、⾼知の⽅々にも私たちのお店を知っていただける機会を頂けてとても嬉しく思っています。
やりたいと思っていた仕事をする機会をいただけるようになったのは、⾃分が行動したから。
⾃分から動いていくことがとても⼤事なんだと実感しています。
── 狙いを定めて戦略的に考えて行動されてきたのですね。もともと外に出て発信したいという気持ちはあったのですか。
そうですね。発信したい気持ちはありました。
発信しないとお客様にお店の存在も知っていただけないので。
何かに出ているからといって、すぐにお客様が来てくださることには繋がらないのですが。
どこかのタイミングでお客様がお店に行ってみようと思うきっかけになったり、こういうことをやっていると⾔えたりすることで、私たちの⾃信にもなっています。
また、お⽶をお取り扱いさせて頂いている生産者さんたちや、商品を卸してくださっている皆様、お客様や私たちに関わって下さっている皆様に喜んで頂けることがとてもうれしいです。
── それでは現在までの最大の試練は何でしょうか。
まだまだお客様も少なくてお店としてはなかなか⼤変なのですが、試練と感じることはないんです。
周りの⽅々に助けて頂いたり、⾃分たちがやりたいと思っていたお話を頂いたりと、うれしいことがいろいろとあるので、これを乗り越えないといけないなと思うことはあまりないんです。
好きなことを通して笑顔の繋がりを増やしたい
── お店や5ツ星お米マイスターとしての活動を通して、新たに手に入れたものやご自身の変化はありますか?
手に⼊れたものは、⼈との繋がりです。
5ツ星お⽶マイスターを取得してからは⾃分に⾃信がついたのか、 ⾃分からどんどん動くようになりました。
店の二階をイベントスペースにして、月に2、3回ほど自分が習いたいなと思うイベントを主催しているのですが、以前の私はまさか自分がイベントを主催する側になるとは思っていませんでした。
また以前は⼈前で話すなんていうことはあり得なかったのですが、今は「おいしいごはん」を知ってもらうためのイベントを⾃分でやってみようと計画しているところです。
── それでは最後に今後の夢を教えてください。
今は仕事とプライベートの境目があまりなく、プライベートで楽しいことも仕事に活かしていきたいので、とにかく興味のあることは全部やってみようと思っています。
お店やプライベートでの活動を通して⾃分が楽しいと思うものを⾃分の周りのみんなと共有したい。
お⽶の美味しさや楽しくごはんを食べるということも、もっと伝えられたらと思っています。
私の好きなコトやものを通して繋がった⼈たちが「楽しい、美味しい」と笑顔になる。
私も私の周りも⼀緒になって楽しむ。
そういう繋がりをどんどん増やしていきたいです。
── 城直子さんにとって夢とは
撮影/松浦静香
取材・文/Sachiko Kikutani
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