多世代型介護付きシェアハウス運営/絵描き・首藤美幸さんインタビュー

シャイニスタNo.045の首藤美幸さんは夫婦で介護付きシェアハウスを運営しながら、個人では絵描きとしても活動中です。 新しいものを柔軟に受け入れながら、頑としてぶれない軸を持つ首藤さんの肩書きやジャンルにとらわれない活動について伺いました。
シャイニスタ
首藤 美幸
首藤 美幸 (しゅとう みゆき)
多世代型介護付きシェアハウス運営/絵描き
シャイニスタNo045 首藤美幸

なぜ、あなたは輝きはじめたのですか?

「どうしても読者に伝えたいことはある?」
その言葉がきっかけでした。

小学校の頃から絵を描くのが大好きで、漫画家になろうと毎日漫画を描いていました。
高校生になり、何度か持ち込みをしていた時、編集部の方に言われた言葉です。
描くことばかり考えていた私は、言葉に詰まりました。読者が惹きつけられるような物語を描くには自分自身が空っぽだと。

『自分は人に伝えられるほどの、熱い想いや経験が全然足りていない』と気付いたんです。
それからは一人暮らしを始め、自分が興味を持ったことや苦手なことに、どんどん挑戦して吸収していきたいと思い始めました。

首藤美幸

肩書きを決めないから介護もするし絵描きにもなる!首藤美幸さんの2つの活動

首藤美幸 取材01
── 現在の活動について教えてください。

主人を支えて行っていることと、私個人での活動があります。

夫婦一緒に行なっている活動としては、神戸市長田区で『はっぴーの家ろっけん』、明石市で『はっぴーの家はりま』という介護付きシェアハウスを運営しています。
私は、会社の事務や夜勤などをしています。

── 首藤さんご自身の活動としては、どのようなことをしているのでしょうか。

絵を描く仕事をしています。
近所の方や企業などからお仕事の依頼を受け、チラシのデザインや本の挿絵、イベントのフライヤーやお店のショップカードなどを作成。
自分のオリジナルキャラクターの『おにぎりす』をグッズにしたくて作ったスマホケースは、ハンドメイドのマーケットでも販売しています。
首藤美幸 活動01
最近いただいて嬉しかった仕事は、兵庫県と神戸市の合同庁舎の仮囲いの壁画のお仕事です。
小学校・中学校・高校の子供たちに手形を押してもらい、その中に『夢』を描いてもらいました。
それを一つの大きな絵にして、壁画として完成させるといったプロジェクトで、企画・作成・作画と関わらせていただき、とても素晴らしい『想い』がこもった絵になりました。

また、自伝を販売される方から漫画の作成の仕事をいただいた時には、『伝えたい想い』がしっかり詰まっていて、描いていてとても楽しかったです。

── 2つの活動はどのように両立しているのですか。

2つの活動は一見別物ですが、私の中ではつながっています。
『はっぴーの家』で知り合った方から仕事をいただくこともありますし、その逆で、絵の仕事から人を紹介してもらうことも。

絵を描く時は『みゆきち』と名乗っています。
『首藤美幸』も『みゆきち』も、両方あっての『私』です。
夜勤の時間の合間を、絵の作業時間に充てたりできますしね。

漫画家ではなく絵描きになるまで

首藤美幸 取材02

── 現在の活動を始める前は何をされていたのでしょうか?

子どもの頃から絵を描くことが好きで漫画家になろうと思い、高校生の頃には描いた漫画を東京の出版社へ持ち込んでいました。
それである時、編集の人から「何か伝えたいことがあるの?」と問われて、ふと考えてみたら、当時の自分にはまだ伝えたいメッセージがなかったんです。

私は絵が描きたかったから漫画家になるというルートに勝手に乗っかっていただけで、漫画家になってまで伝えたいものが何もないと気づきました。

このことがあってから、肩書きを決めたくないと思うようになったんです。
決めて思い込んでしまうと、それ以外のことに目を向けなくなってしまうので。

── 漫画家になることをやめてからはどうしたんですか。

高校を卒業してから、自分が本当に何をしたいのかを探そうと思って、苦手なことから挑戦し始めましたが、自分がまだまだ甘く、自立できていない現実が見えてきました。
そこで一人暮らしを始め、様々な出会いのために必要なコミュニケーション能力を極めようと思い、ファーストフード店の接客のお仕事と、深い会話ができるカウンターメインの純喫茶でウェイトレスの仕事を掛け持ちしながら働いていました。

その頃、最先端で活躍されているイラストレーターや絵本作家の先生が、代わる代わる『自分の仕事のやり方や想い』を教えてくださる『絵話塾』と出会い、『自分が好きだと思う絵を描き続けること』の難しさと、大切さを学びました。

そして20歳で個展を行い、その頃からホームページに絵を使いたいとか、チラシのデザインを描いてほしいとか、ぽつぽつと仕事をいただけるようになったんです。
KOBEトアロードのクラフトアートフェアの冊子の表紙に絵を使ってもらったり、神戸のタウン誌から絵のことで取材を受けたり、だんだんと私は絵描きなんだなと思えるようになりました。

支え合える大家族の暮らしの良さを広めたい

首藤美幸 取材03
── ご夫婦で現在の活動を始めるようになったきっかけは何でしょうか。

結婚した頃、主人の実家で暮らしていました。
その時、自分の子供や姪も含め、14人くらいの大家族で暮らしていたんです。

その生活がとても良かったんですよ。
今の活動はこのときの経験が元になっています。

── どういう経緯でそれほどの大家族で暮らすことになったんですか。

「おめでとう、これから二人頑張るねんで」
結婚の意思を伝えた時、主人の祖母が言ってくれた言葉です。
その時、しっかりとした祖母が少し寂しそうに見えて、あえて離して暮らす必要があるのかなと思ったんですね。
それで、『一緒に暮らせばいいのでは?』と思い、みんなで一緒に暮らすことにしました。

始めはみんなビックリしましたが、同じ時期に結婚した義妹夫婦も一緒に住んでくれ、子供も姪っ子も産まれどんどん家族の人数が増えて賑やかになっていきました。

人数が増えれば増えるだけわかったんですが、大家族って本当に暮らしやすいんです!

── どういうところが暮らしやすかったんでしょうか?

男手が多くて力仕事はやってもらえるし、お母さんも4人いたので交代でご飯の用意をするにしても、週に1〜2回でいい。
そしてご飯を作ったら誰かが洗い物をしてくれて、掃除もお風呂の準備も誰かがやってくれるんです。
ごみ捨てや洗濯もそうですね。
確かに人数の分だけ量は多いのですが、あれもこれもと全部する必要はありませんでした。
首藤美幸 取材04

── 確かに家事も子育てもお母さん一人でやっているより、負担が分散しますよね。

そうなんです。
オムツが切れたら隣の部屋の義妹に借りれば良いし、買い物したければ子供も見ていてもらえる。お風呂もまとめて誰かが入れてくれる。
『こんな生活ってすごい!』って感動していました。

一人暮らしの時、寂しくて「神様、もう少し賑やかに暮らしたいです」と祈ってみたこともあったけれど、まさかの14人ですよね。
始めは多すぎって思いましたが、これが楽しく、しかも楽なんです。
他人でもあり、家族でもあるという環境が心地良かったですね。

その頃から、多世代のシェアハウスのようなものがあってもいいんじゃないかなと考えるようになったんです。
この頃の生活が『はっぴーの家』の原点になっているんだと思います。

失敗の経験を重ねることが自信につながった

首藤美幸 取材05
── 活動を始めて最初にぶつかった壁は何ですか。

絵描きとしては、自信がなかったことですね。
独学だったこともありますし、経験が浅かった。報酬も、相手が出してくださる金額をそのまま受け入れていました。
自分の出来ない仕事も引き受けてしまったり、無理な期限で引き受けてしまったりして苦しんだこともあります。

── それはどのようにして乗り越えたのでしょうか。

少しずつ自分の実力と経験が身についてきた感じです。

首藤美幸 取材06
だんだんと自分が得意な仕事のやり方がわかってくるようになり、最初の頃よりちゃんとした
値段で受けられるようになって、期限も無理をしない形を伝えられるようになりました。

自分と真摯に向き合うことで手に入ったもの

首藤美幸 取材07
── 活動を通して転機となった出会いや出来事があれば教えてください。

たくさんありすぎて、どれか一つとは言えないんですよ。
いいことも、とてもショックなこともあって。
でも、今まで起こってきたことの全てが私を変えました。

いろんな経験をしてきたことで、ただぼーっと毎日をなんとなく生きるのではなく、生き切ってやりたいと思えるようになりました。

いつもどこか逃げていた。
それをやめ、どの出来事に対しても、一つひとつが自分を成長させるためにある壁なんだと思い、逃げずに正面からぶつかっていった事が今の自分を作っていっています。
首藤美幸 活動02

── では、活動をする中で新たに手に入ったものやご自身の変化はありますか?

やっぱり人だと思います。
この両方の活動をしてから、日は浅くても深いつながりの人にたくさん出会えました。

自分を確立していて「私はこれが楽しいからやっているんだ」という人との出会いが本当に多いです。
そして、そういう人は私の大事にしているものも大事にしてくれて、すごく気持ちのいい距離感を保ってくれるんですね。

以前、自分に自信が持てず、周りの人に真摯に向き合えていなかった時期がありました。
近づいてきてくれてもこちらが壁を作ってしまっていて、気付けなかったところもあったと思います。
でも今は、自分が前を向けたからか、人との距離が近くなる事が素直に嬉しいんです。

新しい何かを受け入れるために自分を決めない

首藤美幸 取材08
── 最後に今後の夢を教えてください。

漫画を描きたいです。
始めに戻ってしまいますが、『読者に伝えたいこと』が生まれてきた気がします。
そろそろ自分のことを伝えたいなと、思えるようになってきました。

個性という字は「人が固まる」と書くけれど、私は固まらないでいろんなことをしたいって、
ずっと変わらず思っています。わくわくしていたいんです。
自分で自分はこうだと、決めたくない。
こうでなければいけないと言われることは全部信じられなくて、自分で試して経験したことを信じる。
頑固かもしれないけれど、人に迷惑をかけない限り、これでいいかなと思っています。

そんなものも含め、今私の『伝えたいこと』を、描いていこうと思っています。

── 首藤美幸さんにとって夢とは
首藤美幸さんにとって夢とは

撮影/松浦静香
取材・文/Sachiko Kikutani

この記事のシャイニスタ

首藤 美幸
多世代型介護付きシェアハウス運営/絵描き
首藤 美幸 (しゅとう みゆき)
こうでなきゃいけない。こうであるのが正しい。みんなたくさん持っているかと思います。でも、もし今生きずらさを感じているなら、一回その『正しい』を外して考えてみてもいいかもです。
シャイニスタNo045 首藤美幸
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