農業/不登校引きこもり支援・白鳥知恵さんインタビュー

なぜ、あなたは輝き出したのですか?
作業所でつまらなそうに仕事をしている時とは、全く違う明るい表情でした。
それを目にするうちに、自分自身もまた農作業に癒されたこともあって、「農業を始めたい!」という気持ちが芽生えました。
生き辛さを抱えた人を農業で応援!白鳥 知恵さんの不登校・引きこもり支援活動
── 白鳥さんの、現在の活動内容について教えてください。
自らも女性ひとり農業をしながら、不登校や引きこもりの方、うつ病を患っている方を「白鳥農園」に迎えて応援する活動をしています。
必ず一緒に農作業をするという強制は一切無く、気が向いたときに来て手伝ってもらうという自由な雰囲気です。
農作業をしなくても、鳥の声を聞いて農園でボーッとするだけでもリラックス出来るんですね。
太陽の光を浴びる事で夜ぐっすり眠れるようになった、という声をいただいた事もあります。
基本的には毎日の農作業は自分ひとりで行うんですが、収穫の忙しい時期だけ不定期でスタッフを雇って、成人した息子に手伝ってもらい乗り切ってきました。
たくさん収穫出来た時には、無農薬野菜をご近所に配っています。
── 農業以外での活動は何かされているんでしょうか。
最近、夫が理事代表を務める「きっと、うまくいく」という一般社団法人を立ち上げ、何度か事務所でお話会を開いています。
第一回目は、中村建二郎さんという方に話をしていただきました。
彼は小学2年生から中学2年生まで引きこもっていたんですが、ある先生との出会いから勉強の楽しさに目覚めて、最終的には立命館大学や関西学院大学などに合格し、その後世界一周の旅に出たという経歴の持ち主なんです。
お話会は、子育て世代の方や医療関係者などたくさんの方から反響が大きく、今後も続けていきたいと思っています。
あとは、精神保健福祉士の経験から、これから子育てをされる若いお母さんたちを対象に、インフルエンザなどの予防接種ワクチンや、抗精神薬の副作用が心身にもたらす影響について話をさせていただく事もあります。
子育てに専念した日々から福祉の道へ
── この活動を始めるにあたり、何かきっかけとなった出来事があれば教えてください。
農園を開く2年前までは、4年間福祉の作業所で正社員として働いていたんです。
その作業所は、精神保健福祉士の資格を取る為に通っていた専門学校からの紹介でした。
ある時、スタッフの一人が自宅の庭に畑を作ったことがきっかけで、作業所で働く障害者の方たちを、週に一度そこへ連れて行く事になりました。
すると、作業所ではつまらなそうに仕事をしていたのに、畑仕事をしている時は表情も明るくなって楽しそうに作業されていて。
自分自身もまた農作業で癒されたので、「農業をやってみたい!」と、思いました。
── 福祉のお仕事をされる前は、専業主婦だったんでしょうか。
大学卒業後に東京で1年間会社勤めをして、寿退社後からはずっと専業主婦でした。
結婚後に臨床検査技師の資格を取り、その後に2歳差で3人息子を出産したんですが、今思い出しても毎日寝不足で大変でしたね。
主人が転勤のある仕事だったもので、最初は京都から大阪・高槻に移り、そこからシンガポールで3年間過ごした事もあります。
その後、子供3人と自分は日本へ戻り高槻に落ち着いたんですが、主人はそのままシンガポールでさらに3年間残って、そこからは単身で海外をあちこち回る生活でした。
40歳を過ぎて子供の手が離れてからは、研究所でパート勤めを始めました。
── ご主人は海外勤務をされていて、日本で子供3人の子育てを一人で、となるとかなりハードですよね。
そうですね。
息子たちがある程度大きくなってきても、受験の時期はこちらもフォローしてあげたい気持ちがあって精神的にしんどかったですし、「就職して働きたい!」と思うまでには時間がかかってしまいました。
子育ては確かに大変だったんですが、就職する時に子育ての経験を買ってもらえたので良かったです。
就職後は、働きながら勉強して、精神保健福祉士に続き社会福祉士の資格も取りました。
作業所を退職後、精神科病院や心療内科で2年間働きながら農業を学び、地元だった神戸で「白鳥農園」を開いたんです。
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