株式会社Artripper代表・木戸彩さんインタビュー

夫婦で活動するRe:Walk Project、アートで日常を彩るArtripper、女性の「やりたい」を応援するP-UP Salonと幅広く活動中のシャイニスタNo.024の木戸 彩さん。 活動のきっかけとなった出来事や、今後の夢について伺いました。
シャイニスタ
木戸 彩
木戸 彩 (きど あや)
株式会社 Artripper 代表
シャイニスタNo.024木戸彩

なぜ、あなたは輝きはじめたのですか?

夫が事故で歩けなくなったことをきっかけに、自分の働き方を見つめ直し、WEBを活用する仕事にシフト。
度重なる逆境の中でも自分が守りたいものを守るために、あえて「攻めに出る」ことにしました。

木戸 彩

自分の夢の実現がみんなの希望に。あらゆる人の「生き方」の可能性を広げる木戸 彩さんの活動

木戸 彩 活動内容04
── 現在の活動内容について教えてください。

主に3つの活動をしているんですが、最初にはじめたのは「Re:Walk Project(リウォーク プロジェクト)」という、非営利団体の活動。
Re:Walk Projectは、脊髄損傷者やその他の怪我・病気などで歩けなくなった方が、「もう一度歩く」という希望を持てるように活動しています。
主な活動の目的は、「情報発信・拡散をして『再生医療』や『歩くリハビリ』の認知を高めること」「『歩くリハビリ』を知った方が、より前向きにリハビリ生活を送ること」の2点です。

この活動に関連して、2017年より夫を中心に「須磨ユニバーサルビーチプロジェクト」という新たな取り組みも始めました。
須磨ユニバーサルビーチプロジェクトは、須磨のビーチを障害を持っている方や高齢の方、小さな子供のいる家族など、誰もが気軽に安心して海水浴を楽しんでもらえる場所にしたい、との思いから生まれたものです。

Re:Walk Projectの活動は夫婦で行っているものですが、私個人としては、アートと様々なものをセッションさせ、アートを日常に取り入れた新しいライフスタイルを提案する「Artripper(アートリッパー)」という会社を友人と設立しました。

彩りあるアーティーな暮らしを五感でとことん感じ、自分自身を知るきっかけを作り、女性に自分らしい生き方を追及してほしい、そんな気持ちで立ち上げた会社です。
さまざまな事業を展開していますが、自分の得意なマーケティングや情報発信を生かしながら、アーティストさんやプロデューサーと協力して各プロジェクトを進めています。
木戸 彩 活動内容06
そして、WEBやマーケティングについてのレッスンを開催する「P-UP Salon」もスタートさせました。
結婚・出産など、ライフステージが変化する女性の「やりたいこと」を形にできるよう、武器としてWEBマーケティングの知識を身に着けてもらいたいとの思いで始めた活動です。
Artripper中の「人を彩る」という部門が、P-UP Salonだと考えています。

── 現在の活動を始める前は、どのような仕事をされていたのでしょうか。

大学を卒業後、日本の「いいもの」を世界に広めたいという思いから、日系電機メーカーでWEBマーケティングの仕事に携わりました。
その後は、日系アパレルメーカーに転職して、LINEやアプリを使ったデジタルマーケティングの仕事に携わっていました。

夫の事故で突然人生が激変

── 木戸さんが、現在の活動を始めたきっかけを教えてください。
木戸彩 取材06
すべてのきっかけになったのは、2015年4月に夫が事故で脊髄損傷となり、歩けなくなったことです。
夫が事故にあったのは、結婚して2年が経ったときだったんですが、私がアパレルメーカーに転職してわずか2ヶ月目のことでした。

脊髄損傷には完全麻痺と不完全麻痺があるんですが、夫のように完全麻痺と診断されると歩けないと判断され、日本では車椅子での生活を前提としたリハビリが行われます。
これも大切なことですが、夫も私も歩けるようになることを諦めきれなかったので、他に選択肢はないかと調べたところ、歩くことを啓蒙するリハビリが海外で行われていることを知りました。
この出来事をきっかけに立ち上げたプロジェクトが、再生医療の情報を発信する「Re:Walk Project」です。

── Re:Walk Projectを実行するために、まずはどのような行動をされたのでしょうか?
木戸 彩 活動内容02
Re:Walk Projectの立ち上げに際しては、クラウドファンディングで資金を募ることにしたんです。
その結果、有り難いことに525名もの方から540万円の資金が集まりました。

そして蓋を開けてみたら、なんと私たちの友人・知人がたくさん協力してくれていたことがわかって。
私たち夫婦の手助けをしたいと思ってくれていた方にとって、クラウドファンディングはわかりやすい「助けて」の形だったんだなと思いました。

私は負けん気が強く、どんな逆境にあっても暗い顔をしたくなくて。
今までは、「お願いをする」「助けてもらう」という行為が不得意だったんですが、逆境の時こそ応援してくれる人がたくさんいたことを知れたので、アクションを起こして良かったなと思っています。

数々の奇跡の出会いから生まれた転機


── これまでに、転機となった出会いや出来事はありましたか。

夫婦でオーストラリアに渡ってリハビリをすることになったんですが、そのきっかけを与えてくれた偶然の出会いがありました。

夫が事故に遭って日本の病院に入院していた頃、友人とたまたま入ったレストランの隣の席に、3人の外国人男性が座ったんです。
そのうちの一人は、首から下が麻痺して動かず電動車椅子に乗っている方でした。
私はアメリカの大学に行っていたので、英語が話せることもあり、「助けたい」との気持ちから彼らに声をかけ、夫のことも話しました。

すると、車椅子の男性が「彼(夫)は、絶対に歩けるようになるよ」と言ってくれて。
よくよく話を聞くと、実はその男性はオーストラリアで脊髄損傷の再生医療を研究している方だったんです。

── それは、すごい出会いですね。

そうなんです。彼は18歳の時にラグビーで頸椎を傷め、一生呼吸器を付けたままの寝たきりだと言われたそうですが、懸命なリハビリを経て、呼吸器が外れて世界中を旅するまでに。
そして、脊髄基金を作って大学と提携し、世界中から研究者を集めて脊髄損傷の研究をしていました。
しかもその研究グループは、2014年に脊髄損傷で完全麻痺の男性を世界で初めて歩かせたとニュースでも取り上げられていたんです。

その当時、私たち夫婦はリハビリのためにアメリカ行を考えていたんですが、その施設についてもよく知っていて。
さらに、オーストラリアの施設まで紹介してくれたんです。

その後、アメリカとオーストラリアの両施設を見に行き、自然がすぐそばにあるオーストラリアのゴールドコーストでのリハビリを選ぶことにしました。
木戸 彩 活動内容03

── オーストラリアに行くことになり、自身のお仕事はどうされたんですか?

入社して間もなかったのですが、会社の力添えのおかげで、しばらくは介護休暇という形をとってもらっていました。
その後は復職したんですが、オーストラリアへ行くという選択をしたタイミングで退職を決意。
そして自分の働き方を見つめ直し、働く場所を選ばないWEBを活用した仕事にシフトすることにしました。

会社を辞めて肩書きが外れた自分には何もないと不安になったんですが、「好きなもの」「いいもの」を発信することが好きだという自分を発見することができて。
この発見が、現在の活動全てに繋がり、アートを取り入れたライフスタイルを提案する「Artripper」を設立するきっかけにもなりました。

── ビーチマットの活動も、海外での生活がきっかけですか?

そうですね。「ビーチマット」と出会ったのは、オーストラリアのゴールドコーストにあるバーリー・ヘッズ(Burleigh Heads)というビーチでした。
車椅子の女の子が、家族と一緒にビーチを楽しみたいとの思いで電子署名活動をし、ビーチマットが設置されたと知って行ってみたんです。
ビーチマットがあると車椅子のまま海際まで行けるので、自分一人では海になかなか入れない、と思っていた夫は自分で海に入って喜んでいました。

そしてなんと、ここで二つの大きな奇跡が起きたんです。
私たち夫婦の地元・神戸にある須磨海岸とバーリー・ヘッズは姉妹ビーチの関係で、サーフクラブの方たちもお互いに行き来があると知りました。
さらに、日本で唯一の車椅子ライフセーバーの方が、須磨海岸にいるという偶然も。
私が大学生時代の夏休みに海の家でアルバイトをしていたという縁、夫との出会いが須磨海岸だったという縁もあり、須磨海岸でのビーチマット設置を実現したいと考えるようになり、帰国後にみんなでプロジェクトを進めました。

度重なる試練が訪れても「あえて攻める」

木戸彩 取材02
── 木戸さんはさまざまな活動をされていますが、今までで最大の試練は何でしたか?

自分の中で夫の事故を乗り越えたと思ったら、オーストラリアからの帰国後に母が病気になったことですね。
当時は東京に住んでいて、私は既に会社を退職していましたが、夫はまだ休職中という形でした。
これからどうしようかと不安になりましたが、事故をとおして家族の大切さを知った夫が「神戸に帰ろう」と言ってくれて、地元に帰ることにしました。

── 地元・神戸に戻り、どのようにして試練を乗り越えられたのでしょうか。

仕事と介護を両立できるのかと悩み、母を守るために会社の立ち上げを諦めるべきかと考えました。

この環境でやりたいことが出来たら最強になれると思い、あえて攻めに出ることにしました。
私の場合、抱えている苦労がわかりやすいので、この私が本当にやりたいことを出来たのなら、世の中の人に希望を持ってもらえるんじゃないかとも思いました。
木戸 彩 活動内容05
また、母は病気になるまで働いていたんですが、やむを得ず仕事を辞めることになり、とても落ち込んでいたんです。
そんな母に闘病中も仕事をさせてあげたいと思ったのが、「P-UP Salon」を始めたきっかけでもあります。
自分自身の経験からも、子育てや介護で時間に制約のある方や、身体のどこかに障害があることで制限のある方にとって、WEBの仕事は役に立つと思っていたので。

得られた選択肢への感謝と希望


── これまでの経験をとおして、新たに手に入れたものや変化したことはありますか?

たくさんの人との出会いを得られました。
また、リハビリにおいても不妊治療においても選択肢を得られたことに感謝しています。

実は、夫が事故で歩けなくなったと知ったとき、将来子どもはできるのかと不安になり、担当医に聞いてみたんです。
医師からは「専門医じゃないと何とも…」と言われ、明確な答えを得られなかったのがショックで…。
インターネット等でも情報が出ていない状況だったため、自分でとことん調べるようになり、体外受精に挑戦して、現在(2018年1月時点)妊娠5ヶ月になります。
そして、自分たちと同じ状況の方たちに伝えるためにも、夫が自分たちの不妊治療の情報を出しました。
同じような苦労をしている人がいると知るだけでも、心の支えになるんじゃないかとも思っています。

夫が脊髄損傷で一生車椅子、子供ができにくい…など、このような難しい状況に身を置いていたとしても、自分が「やりたい」と思ったとき、目指すことを応援してくれる環境があることが、生きる希望になっています。
不便に思ったり望む形がなかったりしたときは、自分で作るというスタンスで前進していますね。
そして、人と比べずに「自分がどう在りたいか」を、大事にするようになりました。

夢を叶えるためには前進あるのみ

木戸彩 取材04
── 木戸さん夫婦にとっての、今後の目標を聞かせていただけますか。

夫の目標は歩けるようになることです。
しかし人それぞれ目標は違うので、歩けないことが悪いことではないと思っていますし、日本の医療を否定するつもりもなくて。
私たち夫婦がオーストラリアでのリハビリを選んだのは、「歩きたい」という夫の目標に対して、夫に一番合っている環境とリハビリ内容だったからです。
脊髄損傷者やその家族がそれぞれの目標を目指すうえで、少しでも多くの治療やリハビリの選択肢を増やし、一人ひとりが意思をもって前向きにリハビリ生活ができる環境を作ってほしい、そんな願いで活動をしています。

── では最後に、ご自身の夢や目標を教えてください。

自分のやりたいことをするのが夢ですね。
私が夢を実現することで、色々な人がやりたいことを出来るきっかけづくりが出来るんじゃないかと思っています。

ネガティブになるのは簡単ですが、いかに楽しむかを大事にしたい。
自分がやると決めたことを正解にもっていけるように努力をすることが、一番大事だと考えています。
たとえ努力が形になっていなかったとしても、やってみることで、前に進んでいるので。
そして行動が伴う挑戦は、絶対に応援されます。

── 木戸 彩さんにとって夢とは
木戸彩さんにとって夢とは

撮影/松浦静香

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木戸 彩
株式会社 Artripper 代表
木戸 彩 (きど あや)
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シャイニスタNo.024木戸彩
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