戸田 美保子さん シャイニスタNo.017

魚食普及活動として、魚料理教室「Fresh Kitchen」を運営するシャイニスタNo.017の戸田美保子さんは、漁師のご主人が経営するお寿司屋もサポート。 魚を触れなかったことを克服した経緯や教室のコンセプトなどについても伺いました。
シャイニスタ
シャイニスタNo.017 戸田 美保子

なぜ、あなたは輝きはじめたのですか?

漁師をしている主人の希望で魚屋を始めましたが、お魚に触れない私は魚屋の仕事がストレスでした。
そんな時に、お魚について勉強し、知識を身に付けたことで仕事が楽しくなったのです。
知ることは大事だとわかり、私も人に伝える仕事がしたいと思い魚料理教室を開く夢を持ち始めました。

戸田 美保子

魚料理をもっと身近に!魚料理教室「Fresh Kitchen」を運営する戸田美保子さんの普及活動

── 現在の活動内容について教えてください。

魚食普及のために、家庭でも簡単に作れるような魚料理を提案する、魚料理教室「Fresh Kitchen(フレッシュキッチン)」を、明石市で運営しています。
コンセプトは魚に親しんでもらうこと。
この教室で魚を食べられるようになったという方も多く、「新鮮な魚は味が違う」と驚いてくれます。
戸田 美保子 活動内容01

魚料理教室以外にも、兵庫県漁連の講師として小学校や中学校で子どもたちに魚のさばき方などを教えています。
子供は自分で魚を触ってみることで食べたくなりますし、魚が嫌いだったのに好きになったという声もとても多くて。
そこは目的としているところでもあるので嬉しいですね。
肉ばかりではなくて、魚にも目を向けてもらえたらと思っています。

── 魚料理教室はどのようなレッスン内容なのでしょうか。
戸田 美保子 活動内容02
包丁の説明から魚のさばき方、そしてその魚を使った料理までを一連のメニューとして、初心者から上級者までレベルを分けた内容となります。
しっかりと見られる距離にしたいので、最大6名の少人数制に。
一番大事にしているのは、必ず魚に触ってもらい身近に感じてもらうことなので、教室に来られた方には必ず一人一尾をお渡ししています。

── 魚をさばくのが初めての方でも、参加できますか?

むしろ初めての方がほとんどなので、一般の主婦の方でも簡単に出来るさばき方を伝えています。
けれど、家庭でもさばいてほしいというわけではなくて、まずは魚を身近に感じてもらいたいんです。
魚をさばくという非日常的な体験は、記憶にも心にも残るので、スーパーで魚に手が伸びるきっかけになればと思っていますね。
新鮮な魚を触っておくと、新鮮な切り身かどうかもわかるようになるので。

── どのような層の方が教室に来られるんですか?
戸田 美保子 活動内容03
主婦の方や小さいお子さんなど、さまざまな方に来ていただいています。
最近は、男性の方や海外の方も多くなりました。
特に海外の方は体験型が好きなようで、まずは出刃包丁に驚き、魚に感動し、最後には喜んで食べて帰られる方が多いですね。

── 魚料理教室の他にも活動していることがあったら教えてください。

主人が漁師をしているので、漁業や水産業などの第一次産業に目を向けてもらうための「漁船ツアー」に、ガイドとして同行しています。
海へ出てその場で網を入れて、どのような魚が獲れるのかという体験ができるツアーです。
また、主人が寿司屋の経営を始めたので、そちらもサポートしています。

── 教室では、ご主人が漁で獲った魚も使われているんですか?

そうですね。タコなど主人が獲ったものも入っています。
新鮮な魚が食べられるというイメージで来られる方も多いので、ほとんどのレッスンで明石の魚を使用しています。

魚を触れなかった専業主婦からの転身

戸田 美保子 取材01
── 現在の活動を始める前は何をされていましたか?

設計事務所で働いていましたが、子どもを産んで仕事を辞めた後は、専業主婦として子育てに専念。
その頃、飲食店でアルバイトをした経験から、将来役に立つかもしれないと思い調理師免許を取得しました。

── 専業主婦だった戸田さんが、現在の活動を始めようと思ったきっかけを教えてください。

私には二人の子どもがいるんですが、ちょうど二人目が産まれた頃に、主人が「魚屋をやりたい」と言い出したんです。
売れない魚や安い魚などのB級品を一般の人に売りたいということで、自宅の前にプレハブを建てて私が売ることになりました。
でも当時の私は、魚に全然触れなくて…扱いもひどかったですね。

── 魚にも触れなかったとは驚きです。活動を始めてから、最初にぶつかった壁もその頃の出来事でしょうか。

一人で魚を売っていた時期は、宣伝の仕方もわからず近所の人が口コミで来てくれるだけだったので、たくさん売れ残ってしまって。
余った魚は惣菜に加工して次の日に売っていたんですが、夜中までその処理に追われることもありました。
下の子はまだ赤ちゃんだったので、おんぶしながら働いていましたが、もう泣きそうでしたね。
主人は一日14〜5時間ほど海に出て、帰宅しても少し寝てまた出ていくという生活で、子育ても協力してもらえない状態。
子育てと仕事の両立がストレスで、ノイローゼになりそうだった時期もありました。
自分がやりたいことだったら頑張れますが、当時はやりたくなかったので。

── その壁をどのように乗り越えられたんですか?

最初は主人や義母に魚の扱い方などを教えてもらっていましたが、行き詰まってしまって。
そこで、やっぱりきちんと勉強しようと思うようになり、兵庫県の漁連に習いに行ったのが、魚料理の講師を養成するという講師養成講座でした。
講座でしっかりと教えてもらい、魚の扱い方がわかったら、今度はだんだん魚を扱うことが楽しくなってきて、壁を乗り越えていけたんです。
何も知らないよりも「学ぶこと・知ること」が大事だとわかったので、私も人に伝える仕事をしたいと思ったことが教室を始めるきっかけになりました。

そして、最初は近所の人に小売りするだけの魚屋でしたが、次第に飲食店から声が掛かるようになり卸業に発展していったんです。

── 漁連の講座では、具体的にどんなことを教わったのでしょうか。

さばき方や料理など、お魚の基礎から難しいことまで全部教えてくれました。
例えば、お魚はなぜ神経や血を抜くのかというような「なぜ」という部分も深く教えてくれて。
「なぜ」の部分を教えてもらったことで、すごく魚が好きになったので、自分の教室でもその説明から始めています。

道を切り開いてくれた二人の恩師

戸田 美保子 取材02
── 現在の活動を始めてから、転機となった出会いや出来事はありましたか?

二人の恩師と出会ったことが転機となりました。
一人は漁連の講座で教えてくれた師匠。
知識やさばき方など魚の全てを教えてもらった恩師であり、この仕事を楽しいと思わせてくれた方です。
その方と出会えたことで、私も魚料理を伝える仕事をしたいと思えました。
戸田 美保子 活動内容04
そしてもう一人は。パンと家庭料理専門の先生です。
漁連の講座と並行して料理も習いに行ったのですが、その先生に背中を押してもらったことにより、実際に教室をスタートすることになりました。

── 料理の先生は、どのように背中を押してくれたのでしょうか。

教室を開きたいという夢を持っていたものの、普通の主婦だった私は、自分が料理教室を開くなんて全然想像できなくて。
当時は、10年ぐらい勉強してから教室をスタートしようと考えていました。

ところがその先生から、「勉強は一生だから、見切り発車でもいいからはじめなさい。修行、修行と言っていたらおばあちゃんになっちゃうよ」と言われ、その数年後に教室を始めることに。
さらに、失敗して学んでいくものだと教わり、「自分は未熟なので、生徒さんたちと一緒に成長する教室です」と、最初に伝えることも大切とのアドバイスももらいました。
教室をはじめたばかりのときは、自宅に友達や先生が紹介してくれた方たちに来ていただく形で開催。
やはり失敗してしまったこともありましたが、失敗した経験は心に深く刻まれるので、それが良い経験となり、生徒さんたちと一緒に成長していくことができました。

試練の時を経て手に入れたもの

戸田 美保子 取材03
── 活動を始めて現在に至るまで、最大の試練だと感じたことがあれば教えてください。

思考錯誤をしながらの前進なので、日々頭を悩ませている状態ではありますが。
ただ、料理教室を維持していく過程で一番大変だったのは、PTAの本部役員を引き受けた時期と、主人が寿司屋をオープンすることになった時期が重なってしまったことでした。
自分の教室を運営しながらも、家に帰ったらPTAの書類作成や店の事務仕事などが山ほどあり、夜中までパソコンに向かっているという状況でしたね。

── 現在の活動を始められて、新たに手に入れたものや変化などはありますか?

人との出会いが一番の財産になりました。
教室には毎回いろいろな人が来てくれて、初めて会う人でもそこで会話が生まれ、自分の知らない世界を教えてもらえるんです。
魚料理を普及させる仲間が増えたことも、モチベーションアップにつながっています。

また魚食普及活動を行う中で、水産庁から「お魚かたりべ」という称号を与えられました。

── 活動をとおして、さまざまな出会いや出来事があったんですね。

そうですね。それに、異業種講習会や経営者グループでの出会いも面白いなと感じています。
ビジネスは、みんなの輪があって成り立っていることがよくわかりました。
活動を始めたことによって、色々な世界を体験させてもらっています。

世界に広がる魚料理普及の夢

戸田 美保子 取材04
── 最後に、戸田さんの今後の夢について教えてください。

近い未来に叶えたい夢は、海外の方向けのクラスを作りたいということですね。
そして、その先の夢として、海外へ行って日本の魚料理を普及させたいという思いがあります。
日本料理自体が無形文化遺産なので、日本の文化として魚料理を世界に広めていければと考えています。

また、子どもと一緒に魚をさばくのも楽しいので、子どもを含めた家族で魚料理に関する何かができたらいいなという夢もあります。

── 戸田美保子さんにとって夢とは
戸田 美保子さんにとって夢とは

この記事のシャイニスタ

戸田 美保子
目の前の小さな事をコツコツ積み重ねていったら、いつの間にか人の輪が出来て、大切なものを手に入れる事ができました。どんな事も、楽しむことが一番!
シャイニスタNo.017 戸田 美保子
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