魚料理研究家・戸田美保子さんインタビュー

なぜ、あなたは輝きはじめたのですか?
そんな時に、お魚について勉強し、知識を身に付けたことで仕事が楽しくなったのです。
知ることは大事だとわかり、私も人に伝える仕事がしたいと思い魚料理教室を開く夢を持ち始めました。
魚料理をもっと身近に!魚料理教室「Fresh Kitchen」を運営する戸田美保子さんの普及活動
── 現在の活動内容について教えてください。
魚食普及のために、家庭でも簡単に作れるような魚料理を提案する、魚料理教室「Fresh Kitchen(フレッシュキッチン)」を、明石市で運営しています。
コンセプトは魚に親しんでもらうこと。
この教室で魚を食べられるようになったという方も多く、「新鮮な魚は味が違う」と驚いてくれます。
魚料理教室以外にも、兵庫県漁連の講師として小学校や中学校で子どもたちに魚のさばき方などを教えています。
子供は自分で魚を触ってみることで食べたくなりますし、魚が嫌いだったのに好きになったという声もとても多くて。
そこは目的としているところでもあるので嬉しいですね。
肉ばかりではなくて、魚にも目を向けてもらえたらと思っています。
── 魚料理教室はどのようなレッスン内容なのでしょうか。
包丁の説明から魚のさばき方、そしてその魚を使った料理までを一連のメニューとして、初心者から上級者までレベルを分けた内容となります。
しっかりと見られる距離にしたいので、最大6名の少人数制に。
一番大事にしているのは、必ず魚に触ってもらい身近に感じてもらうことなので、教室に来られた方には必ず一人一尾をお渡ししています。
── 魚をさばくのが初めての方でも、参加できますか?
むしろ初めての方がほとんどなので、一般の主婦の方でも簡単に出来るさばき方を伝えています。
けれど、家庭でもさばいてほしいというわけではなくて、まずは魚を身近に感じてもらいたいんです。
魚をさばくという非日常的な体験は、記憶にも心にも残るので、スーパーで魚に手が伸びるきっかけになればと思っていますね。
新鮮な魚を触っておくと、新鮮な切り身かどうかもわかるようになるので。
── どのような層の方が教室に来られるんですか?
主婦の方や小さいお子さんなど、さまざまな方に来ていただいています。
最近は、男性の方や海外の方も多くなりました。
特に海外の方は体験型が好きなようで、まずは出刃包丁に驚き、魚に感動し、最後には喜んで食べて帰られる方が多いですね。
── 魚料理教室の他にも活動していることがあったら教えてください。
主人が漁師をしているので、漁業や水産業などの第一次産業に目を向けてもらうための「漁船ツアー」に、ガイドとして同行しています。
海へ出てその場で網を入れて、どのような魚が獲れるのかという体験ができるツアーです。
また、主人が寿司屋の経営を始めたので、そちらもサポートしています。
── 教室では、ご主人が漁で獲った魚も使われているんですか?
そうですね。タコなど主人が獲ったものも入っています。
新鮮な魚が食べられるというイメージで来られる方も多いので、ほとんどのレッスンで明石の魚を使用しています。
魚を触れなかった専業主婦からの転身
── 現在の活動を始める前は何をされていましたか?
設計事務所で働いていましたが、子どもを産んで仕事を辞めた後は、専業主婦として子育てに専念。
その頃、飲食店でアルバイトをした経験から、将来役に立つかもしれないと思い調理師免許を取得しました。
── 専業主婦だった戸田さんが、現在の活動を始めようと思ったきっかけを教えてください。
私には二人の子どもがいるんですが、ちょうど二人目が産まれた頃に、主人が「魚屋をやりたい」と言い出したんです。
売れない魚や安い魚などのB級品を一般の人に売りたいということで、自宅の前にプレハブを建てて私が売ることになりました。
でも当時の私は、魚に全然触れなくて…扱いもひどかったですね。
── 魚にも触れなかったとは驚きです。活動を始めてから、最初にぶつかった壁もその頃の出来事でしょうか。
一人で魚を売っていた時期は、宣伝の仕方もわからず近所の人が口コミで来てくれるだけだったので、たくさん売れ残ってしまって。
余った魚は惣菜に加工して次の日に売っていたんですが、夜中までその処理に追われることもありました。
下の子はまだ赤ちゃんだったので、おんぶしながら働いていましたが、もう泣きそうでしたね。
主人は一日14〜5時間ほど海に出て、帰宅しても少し寝てまた出ていくという生活で、子育ても協力してもらえない状態。
子育てと仕事の両立がストレスで、ノイローゼになりそうだった時期もありました。
自分がやりたいことだったら頑張れますが、当時はやりたくなかったので。
── その壁をどのように乗り越えられたんですか?
最初は主人や義母に魚の扱い方などを教えてもらっていましたが、行き詰まってしまって。
そこで、やっぱりきちんと勉強しようと思うようになり、兵庫県の漁連に習いに行ったのが、魚料理の講師を養成するという講師養成講座でした。
講座でしっかりと教えてもらい、魚の扱い方がわかったら、今度はだんだん魚を扱うことが楽しくなってきて、壁を乗り越えていけたんです。
何も知らないよりも「学ぶこと・知ること」が大事だとわかったので、私も人に伝える仕事をしたいと思ったことが教室を始めるきっかけになりました。
そして、最初は近所の人に小売りするだけの魚屋でしたが、次第に飲食店から声が掛かるようになり卸業に発展していったんです。
── 漁連の講座では、具体的にどんなことを教わったのでしょうか。
さばき方や料理など、お魚の基礎から難しいことまで全部教えてくれました。
例えば、お魚はなぜ神経や血を抜くのかというような「なぜ」という部分も深く教えてくれて。
「なぜ」の部分を教えてもらったことで、すごく魚が好きになったので、自分の教室でもその説明から始めています。
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