主婦が再就職の面接で答えにくい質問は?準備すると役立つ回答例

主婦が面接で聞かれる「答えづらい」質問の回答例をQ&A形式でまとめています。アドバイスやNG例もパーソナルライフデザイナーがプロの視点で解説しています。
仕事
島谷美奈子 (しまたに みなこ)
キャリアカウンセラー

ブランクがあったり、子どもがいたりしても再就職を決断したものの、面接ではどんな事を聞かれるのか不安はありませんか?
子どもがいない場合や期間があいていない場合と比べて、質問内容も少し変わってくる事があります。

今回は主婦がよく聞かれる質問や、答えにくい質問をQ&Aにして紹介します。
事前に練習して準備しておくといざという時に役立ちます。

条件面について

Working girl
質問 残業はできますか。それはどのくらいお願いできますか。

回答 出来ない場合(お迎えの時間などで出来ない場合やしたくない場合など)

・「申し訳ありません、残業はできません。その分、時間内に業務が終わるように集中して取り組みます。」

・「申し訳ありません、急な残業は難しいです。前日までにわかれば〇〇(母・義母など)に子供を預けて対応いたします。」

回答 出来る場合(子どもを誰かに見てもらえる場合など)

・「はい、残業も可能です。子どもの預け先も確保してありますし、緊急時は〇〇にお迎えをお願いできます。」

・「はい、残業も可能です。子どもは小学生高学年のため自分で習い事にいっております。遅くなる場合は事前に夕食も準備しておきます。」

〈アドバイス〉
まず、できるかできないかを伝えましょう。
出来ない場合は、その代わりに仕事に集中して取り組む、経験があるため実績を出すことに自信がある、などを添えましょう。
できる場合は、残業ができるように環境も整備していることも具体的に伝えましょう。

〈これはNG!〉  
「できません」だけで終わらせるのも「できます」といって本当はできないのもNGです。
できないのであればその代りの案、できるのであればどのような条件であればできるのかを具体的に伝えましょう。

志望動機

business team showing thumbs up in office
質問 未経験職種だそうですが、どうしてやってみようと思ったのですか。

回答 業務に魅力があった場合(新たなスキルを身につけたい・憧れだったなど)
 
・「はい、医療事務をやりたいと思っております。家族の病気で通院した際にスタッフの方々に親切にしてもらい励まされました。今度は私自身が患者様やご家族のお役に立ちたいと思い、事務経験が活かせる医療事務を選びました。」

・「はい、英語を使う仕事にチャレンジしたいと思っております。学生時代から語学を学びましたが、会社員時代はあまり使う機会がありませんでした。そこで子育て中も勉強を続けブラッシュアップをはかっておりました。この機会にチャレンジしたいと思っております。」

〈アドバイス〉
実際の体験や思ったことにエピソードを添えて伝えます。
どうしてもやりたいという意思の強さや、準備していたという積極性を伝えましょう。

〈これはNG!〉
やってみたいから、あこがれていた、だけではNGです。
やってみて合わなければ退社してしまうだろうと懸念されるからです。

回答 業務以外が魅力の場合(家から近い・給料が良いなど)

・「また、30分以内で通勤ができます。地域で長く働きたいと思ったことも応募理由の一つです。」

・「また、働くのであれば責任をもって取り組み、給与に見合う成果を出していきたいと思っております。」

《注意点》
まずは「その仕事への志望理由」を伝えましょう。
経済的なこと、子供の成長を先に伝えると「うちの会社でなくても、この仕事でなくてもいいのでは?」と思われてしまいます。
その上で以下を伝えましょう。

〈アドバイス〉
企業にとって自分を雇うメリットを伝えましょう。

家が近い=交通費があまりかからない・他の候補者より残業ができる可能性がある。
給与が高い=その仕事への自信がある・責任感が強い、等が考えられますね。

〈これはNG!〉
「家が近いからです」・「給与がいいからです」だけではNGです。
条件だけで選んでおり、仕事内容や会社の事業内容を調べていない、どのように役立つかの志望動機がないと思われてしまいます。

これまでの経歴

ビジネス 接客

質問 働こうと思ったきっかけ、理由はなんですか。

回答 経済的な理由の場合(家計を支えるなど)

「はい、家庭の事情で私も働いて家計を支えることとなりました。これまでの職務経験や、子育て経験も活かせる仕事ですし、家族の理解もありますので応募いたしました。」

回答 子どもの成長が理由の場合(幼稚園や小学校に上がり、時間が出来たなど)

「はい、子供も成長し家族の理解もあって仕事を始めることにしました。これまでの職務経験や、子育て経験も活かせる仕事ですし、思い切って応募しました。子供の成長に負けないように私も取り組みたいと思っております。」

〈アドバイス〉
その仕事への志望理由や家族の理解があることも添えて、具体的に伝えましょう。

経済的なこと、子供の成長だけを伝えると「うちの会社でなくても、この仕事でなくてもいいのでは?」と思われてしまいます。
その上で、以下を伝えましょう。

〈これはNG!〉
「経済的な理由です」だけだと、自分の条件だけを伝えて一方的な印象です。
「子供が大きくなったから」だけだと、家族の理解は得られていて、働く環境が整っているのかがわかりません。

質問 得意な仕事はありますか?

回答 ある場合

「はい、接客には自信があります。子育てや介護の経験から、お子様連れや高齢者へもその方の立場に立った丁寧な対応ができます。」

回答 ない場合
「はい、自分ではあまり考え付きませんが、周囲からは細かい作業が得意だねと言われます。以前、工場で部品の検品作業をしていた経験があるからかもしれません。」

〈アドバイス〉
その得意な仕事を、今回応募する職種で活かせるかどうかがポイントです。
いくつかある場合は、応募職種に活かせるかどうかで選びましょう。
  
〈これはNG!〉
「特にありません」はNGです。
思いつかない場合は、「人からはこういわれる」というエピソードを話しましょう。

また「教えていただいたら一生懸命やります」「言われたことはやります」もNGです。
それは当然のことですし、指示がなければ動けない受身の方なのかとマイナス評価を受けることもあります。

個人に関する質問

子育てする女性
質問 あなたの長所、短所を教えてください。
(※面接の場合は、仕事上での長所・短所を言います。)

回答 性格面の場合
 
「はい、相談しやすいとよく言われます。チームで仕事をする時にもメンバーの意見をよく聞き、取り入れるようにしています。一方で、相手のことを考えすぎて動けなくなるところがあります。最近では、必要な時には相手のためにも厳しいことを言うようにしています」

回答 業務面の場合(強み・弱み)
・「はい、責任感があるところです。担当業務を期日内に終わらせるためにスケジュールや業務のやり方を工夫してきました。」

・「短所は、慎重すぎるところでしょうか。決断するまでは何度も確認するほうです。最近では、周囲のアドバイスを取り入れて決断のスピードアップを図るようにしています。」

〈アドバイス〉
最初に結論を一言で伝え、その理由となるエピソードを添えましょう。 
短所はそれをどのようにして改善しているかまで伝えます。

〈これはNG!〉
「特になし」はNGです。

長所を思いつかない場合は、人から褒められたことや言われた言葉を思い出してみましょう。
短所は長所の裏返しです。

質問 就業期間のない間は、何をなさっていたのですか。

回答 「退職後は、2人の子供の子育てに専念しておりました。3年前からは関心があった〇〇の勉強を始め、地域のイベントに出展したこともあります。その経験で地域の方々との人脈が広がりました」

〈アドバイス〉
育児や介護に従事していたことも堂々と伝えましょう。
地域活動・興味があることの勉強・セミナーの参加・パートの仕事経験も伝えていきましょう。

面接官の中には、ブランクの経験がない方もいます。

育児や介護・地域活動などで実際に身に付いたこと、例えば段取り力や指導力・食や教育・福祉への関心等も添えて説明しましょう。
それらは仕事でも役立つ能力です。

〈これはNG!〉
「何もしていませんでした」ではもったいない。
仕事をしていなかったとしても、一人の社会人としての活動は続いていたのです。 

質問 経歴を簡単に説明してくださいor自己紹介をお願いします

回答 「(名前)と申します。
・(主な経歴)私は、これまで約10年間事務経験を積んでまいりました。退職後は育児をしながらボランティア活動も続けております。
・(応募職種に役立つポイント)特に経理部門での経験が長く月次決算まで担当しておりましたので、数字の取扱いには自信があります。
・(人柄がわかるエピソードを添えてもよい)ボランティア経験から高齢者の対応にも慣れています。
・(締めの言葉)本日はどうぞよろしくお願いします。」

〈アドバイス〉
2~3分で経歴を纏めて説明します。
自分で経歴を説明できるかどうか、表現力を見ています。

面接官全員が履歴書や職務経歴書を、細かく読んでいるとは限りません。
自分を知ってもらう最初の機会だと考えて臨みましょう。

〈これはNG!〉
履歴書に沿って1社ずつ細かく説明する必要はありません。
職種や業界ごとにまとめて伝えましょう。

経歴が多い場合は時間がかかりますし、緊張して話が脱線し長引くことがよくあります。

また家庭の事情、子育ての悩みや再就職への不安等を延々と説明するのもNGです。
働き出す準備ができていないと判断されてしまいます。

子どもに関する質問

質問 お子さんが急に熱を出したときはどうしますか。
親子と病院

回答 病児保育・預け先などある場合

「はい、病児保育や義理の母に預ける予定です。義理の母には普段から用事があるときに子供を預けておりますので子どもも慣れております。」

回答 早退・欠勤しなければいけない場合

「申し訳ありません、病気時の預け先がないため、病気時はお休みをいただくこともあると思います。普段から子どもの体調管理には気を付けており、子供も比較的丈夫です。また、●●業務は経験もありますので即戦力としてお役に立てると考えております。周囲よりも高い成果を出せるように取り組んでまいります。」

〈アドバイス〉
どれだけ準備しているかで仕事への意欲が高いかを判断されます。
預け先がある場合は、本当に利用できることをエピソードを添えて説明しておきましょう。

預け先がない場合は、子どもの体調管理に気を付けていることやその分、普段の仕事に集中して取り組むことを伝えましょう。
多少休んでも実績をだせる「自信がある仕事」に応募するのも一つのやり方です。

〈これはNG!〉
「実家が遠いので・夫は仕事が忙しいので、他に預け先はありません」だけでは不十分です。
実家に頼れなくても、兄弟・義理の両親・親戚・友人・病児保育室等、頼れる人はいないかどうかもう一度広げて考えてみましょう。

話してみると夫も半日だけだったら休める日がある、実家も連れてきてくれるのだったら見る、曜日によって預かってくれる友人がいるなど可能性が広がることがあります。

熱が下がった後だったら預かってもらえるファミリーサポートやベビーシッターを探しておくのも一つです。

質問 お子さんの学校行事などが仕事と重なったときはどうしますか。

回答 参加したい場合

「はい、入学式や授業参観の場合はお休みをいただきたいと思っております。数か月前には予定がわかりますので、早目にご相談をして業務に支障がでないように事前に準備をしたいと思います」

回答 参加は考えていない場合

「はい、私は仕事を優先したいと思っております。学校行事は、休みの調整がつきやすい夫や実家の親に依頼して代理で出席をお願いする予定です。」

〈アドバイス〉
採用側は1日でも休まれると困る、と思っているわけではありません。
急に休まれる場合や、休みが多すぎることが困るのです。

また「子供がいるのだから休んで当然」という態度を取られると、職場の雰囲気が悪くなります。
職場のことを考えている方かどうかを見ています。

〈これはNG!〉
「学校行事の時は休ませてもらいます」だけでは一方的な印象です。
学校行事の予定を早めに相談する、業務が忙しい時は仕事を優先するなど職場のことも考えた対応ができることを伝えましょう。

質問 お子さんの予定は?

回答 ある場合

「将来的には考えておりますが、まずは仕事に慣れることが先だと考えております。すぐにとは考えておりません。」
 
回答 ない場合

「今のところは考えておりません。まずは仕事に慣れて即戦力としてお役に立ちたいと考えております。」

〈アドバイス〉
採用したばかりの人材が数か月で妊娠・出産で戦線離脱するのは職場にとっては喜ばしいことではありません。
また育休取得には1年以上の勤務経験が必要等の条件があり、休暇を取得できない場合もあります。

職場の即戦力となり、人間関係も構築できてから計画することが望ましいでしょう。
採用側の立場にたって考えてみましょう。

〈これはNG!〉
育休取得者の数や取得期間等、休暇のことばかり質問すると「条件面のみで応募してきた」と思われあまり良い評価にはつながりません。

長く働いていきたいことを最初に伝え、将来的なキャリアプランの参考として出産後働く先輩たちがいらっしゃるか聞きたいとさりげなく聞くほうがよいでしょう。

記事を書いた人

キャリアカウンセラー
島谷美奈子 (しまたに みなこ)
ライフイベントと仕事の両立や職場復帰に悩む女性をサポート。企業や団体、自治体向けのセミナー講師としても支持を得ています。
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