シングルマザーの生活支援!仕事の悩みも相談できる公的制度とは

平成23年度のデータ(注)によると、全国の母子家庭は123.8万世帯です。
離婚や死別などでシングルマザーとなった時一番の心配は、生活をどうしていくかではないでしょうか。
母子世帯の総所得の平均は234.4万円です。
これは児童がいる世帯の平均673.2万円に比べてとても低い数字となっています。
子供が小さいうちは預け先がみつからない・残業が難しい等で思うように働けないという事情もあるでしょう。
そこで今回は、子育て・生活支援、経済支援、就職支援の3つについてシングルマザーが受けられる公的サポートを詳しくお伝えします。
子育て・生活について相談する
お住まいの自治体のひとり親支援窓口にて「母子・父子自立支援員」の相談を受けることができます。
ひとり親に必要な手続きや、支援制度、育児や生活の悩みについてまずは相談してみましょう。
また自治体によっては家事・育児ヘルパーや、お子さん向けの学習ボランティアなどが利用できる場合もあります。
お住まいの自治体のひとり親支援の部署へご相談ください。
経済的なサポートを受ける
次に経済的な支援についてです。
主な手当について知っておきましょう。
- 児童手当
受給資格は中学生までの児童を養育している親で、児童と生計を共にしている方となります。
月額受給額 | |
---|---|
3歳未満 | 15,000円 |
3歳以上第1子・第2子 | 10,000円 |
第3子以降 | 15,000円 |
中学生 | 10,000円 |
- 児童扶養手当
ひとり親世帯にて18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある児童を養育している親に対して支給されます。(注2)
児童扶養手当 | |
---|---|
全額支給 (児童1人の場合) | 41,020円(一部支給は41,010円~9,680円) |
2人目 | 5,000円 |
3人目以降 | 一人3,000円 |
親の所得や、同居している家族(祖父母等)の所得によって受給額はかわります。
また、支給開始後5年経過した際には減額となります。
ご自身の受給額の確認と請求についてはお住まいの自治体へお問合せください。
- 所得税・住民税控除
所得税は収入がある人が支払う税金のことです。
所得控除とはこの人にいくら税金を支払ってもらうかの計算をするときに、合計金額から差し引いてもらえる金額のことをいいます。
例:年収300万円の人の場合 | |
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所得控除なし | 300万円に対して支払う税金が計算される |
所得控除35万円 | 300万円から35万円を差し引いた265万円に対して支払う税金が計算される |
単純に計算の対象となる金額が安ければ安いほど支払う税金が少なくなるので、所得控除の金額が多ければ負担も軽くなることになります。
ただし、控除を受けるには条件があります。
所得控除を受けられる条件
結婚後に夫と死別または離婚している女性を「寡婦(かふ)」と言い、寡婦控除が受けられます。
(再婚している人は当てはまりません)
寡婦控除には条件により27万円と35万円の2種類があります。
基本的な条件があり、さらにどの条件に当てはまるかで27万円なのか35万円なのかに分かれます。
寡婦控除の基本条件(必須条件)
- 夫と死別または離婚していて再婚していない人
- 夫の生死がわからない(飛行機や船での事故で生死が不明な場合は3ケ月、それ以外は3年以上の期間が必要です)
控除金額が27万円が受けられる人の条件
基本条件を満たしていて(その1)または(その2)にも当てはまる人 | |
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(その1) 子供あり・収入が500万円以上 | ・養っている子供がいる (子供の年収が38万円以下、自分以外の扶養に入っていない・ 自分以外の控除の対象になっていないこと) ・年収が500万円以上ある人 |
(その2) 子供なし・収入が500万円以下 | ・養っている子供がいない ・年収が500万円以下の人 |
簡単にわけるとこのようになります。
控除金額35万円が受けられる人の条件
基本条件を満たしている人で(その1)または(その2)に当てはまらない人 |
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養っている子供がいる (子供の年収が38万円以下、自分以外の扶養に入っていない・控除の対象になっていないこと) |
年収が500万円以下の人 |
子供がいて年収が500万円以下の人 |
(35万円の寡婦控除が受けられる人を「特定の寡婦」と言います)
寡婦控除の説明は職場の総務部門でも教えてもらえますし、税務署で問い合わせもできます。
住民税については自治体が税率を設定していますので、住んでいる地域により違いがあります。
お住まいの地域の税務署に問い合わせれば教えてもらえます。
- 遺族基礎年金
国民年金の被保険者等で一定の保険料納付期間がある方が死亡したとき、配偶者または子に、子が18歳に達する日以降の最初の3月31日まで支給されます。
お住まいの自治体の保険・年金係りまでお問合せください。
- 遺族厚生年金
厚生年金(民間企業に勤めていた方が加入する年金)加入者、または過去に加入者だった方が、一定の要件を満たしながら死亡した時に遺族に支給されます。
お住まいの地域にある年金事務所へお問合せください。
- 国民年金保険料・国民健康保険免除制度
国民年金の場合、所得が少なく納付が困難な時には、保険料の全額または一部が免除または猶予になります。
国民健康保険の場合は、所得が少なく退職などで著しく収入が減った場合に保険料を減免できる場合があります。
お住まいの自治体の保険係りまでお問合せください。
- 母子父子寡婦福祉資金貸付制度
児童の就学資金・修学資金・転宅資金などの貸し付けを受けることができます。
貸付は返却義務があるものです。
事前に審査があり、ご家庭の経済状況や返済計画などを詳しく説明する必要があります。
また保証人も必要です。
金額等は自治体によって違いますのでお住まいの自治体へお問合せください。
- その他
自治体によって水道料金免除、JRやバスの通勤定期券の割引制度、医療費助成制度などがあります。
それぞれ受給するには請求が必要ですので、お住まいの自治体へ確認してください。
就職支援を活用する
シングルマザー向けの就職支援制度もあります。
事前に確認しておきましょう。
- 高等職業訓練促進給付金等事業
看護師や保育士・介護福祉士等・市長が市の実情に応じて認める専門的な資格取得を目指すため2年以上の通学が必要な方のための支援制度です。
就学する期間の全期間(2年を限度)として月額10万円(所得により75,000円)の生活給付金を受けることができます。
入学申込みの前に、お住いの自治体への申込みが必要です。
- 自立支援教育訓練給付金事業
雇用保険の教育訓練給付の受給資格がない方が、厚生労働省指定の「教育訓練給付金付の指定教育訓練講座」(注3)や都道府県等の長が指定した講座を受講した場合、受講費用の20%(上限10万円)を受給することができます。
介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー)、医療事務などが対象となります。
受講申込みの前に、お住いの自治体への申請が必要です。
- 自立支援プログラム
母子・父子自立支援員や就労相談員によって、一人一人の事情に合わせた自立プログラムの策定と、その内容に沿ったきめ細やかなサポートが受けられます。
自治体によっては母子家庭向け求人情報の紹介や、面接用のスーツ貸し出しのサービスもあります。
お住まいの自治体への申し込みが必要となります。
- ハローワークの支援
相談窓口では仕事の紹介だけでなく、書類の書き方や仕事の選び方などの相談も受けられます。
また、子育てしながら働く方向けのマザーズハローワークでは、託児付のセミナーも開催されています。
シングルマザーのサポーター
子育てとの両立で思うように働けない。
シングルマザーになった経緯もあり気持ちがまだ落ち着かない。
そのような悩みを抱えるシングルマザーの方も多いと思います。
そのときは遠慮なく公的サポートを利用してください。
生活が軌道に乗るまでをバックアップしてくれる強い味方です。
ただし、すべてのサポートが永久的に受けられるわけではありません。
どれも、皆さんと子供達の「自立」をサポートする制度だからです。
専業主婦だったとしても、子供が大きくなると働きだす方は多いものです。
また、子供の教育資金のため資金繰りに悩むのは二人親も同じです。
できることから準備を始めて、就職・転職によって収入増をはかっていきましょう。
子供が進学・就職を目指すころには、自立した働く社会人の先輩としての姿を見せられるようにしていきましょう!
(注1)厚生労働省 平成23年度全国母子世帯等調査より
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/boshi-katei/boshi-setai_h23/
(注2)厚生労働省HP「ひとり親家庭の支援について」より
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-oyoukintoujidoukateikyoku/0000059370.pdf
(注3)厚生労働省HP「雇用保険制度の教育訓練給付の指定教育訓練講座」より
http://www.kyufu.mhlw.go.jp/kensaku/T_M_kensaku
(注4)国税局HP「寡婦控除」より
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1170.htm
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