PTA役員決めでのトラブル回避!受けるメリットと上手な断り方

小さな子供をもつ母親にとっての悩みの種になりやすいのが【PTA役員決め】。 PTA役員を引き受けるメリットやトラブル回避法から、上手な断り方までを心理カウンセラーがアドバイス! 性格別のおすすめ役職も参考にして、上手に乗り切りましょう!
人間関係
PTA役員

PTAとは何のためにあるの?

近年では、核家族化や仕事を持つ母親、シングルマザーが増えたこともあり、「PTA役員として活動することが大きな負担になるんじゃないの?」との質問が誰もが情報発信できるインターネット上で投げかけられるなど、PTA役員に関してマイナス面ばかりがクローズアップされがちです。

しかし、子供たちが登下校する通学路の安全や学校の教育環境、地域との関わりなど、PTAのさまざまな活動によって、私たち保護者は安心していられるのです。

その意義が理解できれば、PTA役員を引き受けてくれる人たちに感謝の気持ちが湧いてくるでしょう。
実際のところは、自分が役員になって初めて実感することかもしれませんが。

PTAは、保護者と先生が互いに協力し合い、さまざまな活動を通して子どもの健全な育成を図る組織です。
学校や地域の行事を通して家庭・学校・地域の3者の橋渡し役となり、子どもの学校生活を安全に保ち、充実させるためにボランティアで活動しています。
構成される委員会や活動は学校によって様々。

またPTA加入については、強制加入の学校を除き、基本的に任意加入です。
後の役員逃れから加入しないことも可能ですが、行事で配布される記念品などはPTA会費から出るケースが多いので、未加入の場合は自分の子どもだけ受け取れないといったことも出てきます。

PTA役員の種類と特徴

PTAの役割

委員会の種類や役員の仕事内容は学校により様々ですが、大きくわけると本部役員(会長、副会長、書記、会計、監査)、学級委員(各クラス1~2名)、専門委員(成人・教養、厚生・保健、広報、校外など)があります。
まず学級委員を決めてから、学年ごとの委員長・副委員長、専門委員に割り振りを行います。

PTA本部の役割

会長
PTAの代表。式典や行事の挨拶、総会・運営委員会の召集、通知文の発行責任。PTA連合の会合など対外的な活動への出席など。
副会長
会長の補佐役や代行。会長は対外的な役割が多い分、学校内での内部折衝をまかされることが多い。
書記
PTAの書記業務全般。議事録の作成、書類のファイル管理など。
会計
活動費の支払い帳の記帳、帳簿の締め作業、役員通信費・交通費の準備と支給など。
監査
年度の会計監査をして総会で報告する。PTA本部役員と仲間内での監査は査閲が厳格でなくなるおそれから、役員とは一線を画することが多い。

学級委員の役割

クラス内の連絡網、運動会の手伝い、ベルマーク回収と集計、保護者の親睦を図ることなどが主な仕事。

専門委員

専門委員の役割

成人(教養)
会員(保護者)向けに教育に関することや生涯学習として講習会、講演会、見学会などを企画開催。
保健
運動会のPTA競技の開催や給食試食会の開催、子どもの健康について学習し合う場を設定。
広報
学校の行事や学習、PTA活動などを伝える広報誌を発行します。内容の企画から取材、原稿執筆、編集、印刷など。
校外
区切った地区ごとに委員を立て、地域パトロール、通学路の安全確認や改善点をチェックして警察の交通課への依頼など、交通安全活動を行う。
ベルマーク
各家庭で集めてもらったベルマークを集計し、児童や学校のためになる備品などを購入できるようにする。
選考
次期の本部役員の選考、推薦、依頼などを行う。

※学校によって専門委員の名称や役割は違うので、同じ学校の先輩保護者に聞いてみましょう。

PTA役員のメリット・デメリット

メリット

役員を引き受けることのメリット

マイナスイメージばかりが先行していますが、役員としてのメリットは、とてもたくさんあります。
そのポイントは大きくわけると「親子関係」「自己成長」「社会性」の3つ。
それでは、具体的にどのようなメリットがあるのかの細かな例をみていきましょう。

期待できるメリット例

先生との距離が近くなり情報が入ってくる
⇒子どもと共通の話題ができ、親子の会話がはずむ
時間を作り、いろいろなことをやりくりして頑張る
⇒子どもや夫、家族が協力的になってくれる
新しい環境、役割、人の中で活動することになる
⇒今まで知らなかった自分を発見できる
新たなことにチャレンジすることになる
⇒子どもの手本となり、勇気を与える
今までの生活にプラスアルファの仕事が増える
⇒時間・すべきことの効率化、協力体勢を整えるために工夫する力がつく
学校の様子がわかり安心でき、改善した方が良い点などが見える
⇒委員会で課題の提案や発言が活発化し、良い会議の場が作れる
知り合いができる、増える
⇒困った時に助け合える仲間ができ、安心感が得られる

また、子育てや子どもの成長には多くの人が関わっていることに気づけ、感謝の気持ちが湧いてきますし、自分もその一員となって役に立てることの喜びを感じられます。
やってみて初めてわかること、見えてくることが多いのですが、実際に親として、ひとりの人間として自己を成長させてくれます。
このことが、子どもたちにとって良い影響を与えていくのです。

役員を引き受けることのデメリット

デメリット

役員になることのデメリットは、人それぞれの心持ちで変わりますが、多くは協力的でない人に腹が立ったり、苦手なタイプの人がいたりなどの人間関係のストレス。

以前、ある専門委員の委員長になってしまい、人間関係のストレスから動悸がしたり、不安感が強くなってしまったりして辛いと相談にこられた人がいらっしゃいました。

「私は人前で緊張してうまく話せないので、ハッキリと話せる活発な人が、私を鬱陶しいと思っているみたいなんです。その人がそばにくると緊張から、益々話しができなくなるんです。威圧感があって怖いんです」という感じです。

このようなケースの場合、実は苦手なのはその人ではなく、そういう雰囲気を持った人全般なのです。
二度と会う機会がなければ、その時だけガマンすれば良いですが、役員の一年間は、同じメンバーでやり過ごさなければなりません。
これをチャンスと思って、うまく折り合いをつける工夫をしたり、何らかの方法で克服してストレスを軽減していきましょう。
なぜなら、職場やママ友同士の付き合いなど、いろいろな人間関係の中に似たような人はいるからです。

もう一つの大きなデメリットとしては、仕事が増えて時間が減るということ。
しかし一年中、毎日仕事が増えた状態ではありません。
委員によっては仕事や会議が偏って集中してしまう時期がありますが、ここはPTA活動が与えてくれる安心感を思い出し、工夫して乗り越えましょう。
メリットにあるように、あなたが新しいことにチャレンジして頑張る姿勢は人を動かす力を持っているのです。

役員決めの方法と起こりやすいトラブル

PTAのトラブル
役員決めの方法は学校により様々ですが、入学式、保護者会、懇談会などで、まずは立候補や推薦を募り、それで決まらない場合、クジ引きやじゃんけんで決めることが多いようです。
また校外委員などは、地区ごとに順番で回ってくる場合もあります。

役員決めの日に欠席する場合は、事前に委任状を提出する必要があるかどうか、その際、欠席でも選考される可能性があるかどうかなど、後のトラブルを回避するために確認しておきましょう。

トラブルとなりやすのが、役員を逃れたいための安易な推薦です。
専業主婦だから、責任感があるから、向いているから、一度も役員したことがないからなど、相手の状況を確認せずに押し付け推薦すると、後から「あなたのせいで」と恨まれることになりかねません。

また、逃れたいがための適当な言い訳や嘘は、後の保護者間の関係が険悪になったり、さらなる嘘で辻褄を合わせることになったりするなど、自分を追い込んでしまい辛くなるだけです。
肩身の狭い思いをすることになるので気をつけましょう。

個人的な事情をみんなの前で言うことに抵抗があれば、事前に担任の先生に伝えておくのも得策です。
当日、「役員はお受けできませんが、こんなことなら協力できます」とアピールすれば印象が違うものです。

引受けられないときの上手な断り方

断り方
今の時代、「仕事をしているから」という理由では、役員を逃れられないのが現状です。
どうしても今年は困難な状況であれば、事実を具体的に伝えましょう。

たとえば、「コンピューター業界に勤務していて、現在夜9時まで仕事をする日が続いている。毎週、休日出勤をしている状態で心身ともに辛い状況です」といった説明だと「納得」してもらえます。
その際、「パソコンで資料を作ることはできますので、声をかけてください」などと、どんなことができるかを伝えておくと、断るにしても周りに与える印象は大きく変わります。

また免除してもらえる可能性がある状況としては、3歳未満の子どもがいる、妊娠している、過去に役員をした、他の子どもの学年(学校)で役員を頼まれている、介護でどうしても目が離せない家族がいる、頻繁に通院の必要がある場合などです。

どの場合であっても「説得」しないことです。
説得しようとすればするほど、その人の都合のいいように事を運ぼうとしている感じを与え、相手は不快感を感じたり、反感を持たれたりしやすいのです。

性格別のおすすめ役職

楽そうか大変そうかで決めるより、自分が好きなこと、得意なこと、できることで選びましょう。
やるべきことが自分に合っていれば、たとえ人間関係で多少のストレスがあったとしても、結果的にはストレスは少なく気持ちも楽になります。

そこで、あなたの「好き、得意」からオススメの委員をみてみましょう。

お世話するのが好き、細かいことに気づく方
「副委員長」などの補佐役に向いています。
人に任せる(頼む)ことに抵抗がない方
トップの「委員長」はいかがでしょう。
「この件(仕事)は、この人にお願いしてみよう」と振ることができる、任せる力がリーダー(委員長)には必要です。
情報集めが好き、読み書きが好き、写真を撮るのが好き、パソコンが使える方
「広報委員」が適任です。自分の好きなことで役に立てます。
新しいことを学ぶのが好きな方
「成人・教養委員」では、自分が興味のあること、取り上げて欲しいことの企画案を積極的に出せて楽しめます。
ひとりでコツコツ、細かい作業が好きな方
「ベルマーク委員」が適任です。室内での作業が好きな人に向いています。
活発に動くことが好き、人と接するのが好きな方
「校外委員」や「イベント」向きです。通学中の子ども達に積極的に声をかけられる人が最適です。

もし、望み通りの委員や活動内容でなかったとしても、
いざやってみたら「自分にはこんなこともできるんだ!」と思えることが多々あるもの。
「新しいことに挑戦してみよう」、「どうせやるなら楽しもう!」という心持ちでやっていきましょう。
子ども達はそんなお母さんの姿をきっと誇らしげに見つめています。

役員をする自信がない方へ

チャレンジ
誰しも、やったことのない未知のこと、新しい環境は不安なものです。最初から自信がある人はいません。

会議で集まった際に、「自信がなくて…」「不安だわ」という気持ちを共有してみましょう。同じように不安を抱えている人は共感し親近感を持ってくれます。

また、こういった活動に慣れている人も、最初は不安だった頃を思い出し「一緒に頑張りましょう!」と支えてくれるでしょう。
ちょっとした自分からの声かけが、新しい繫がりを作るキッカケになります。

また、チャレンジしているお母さんの姿は、子どもにも頑張ろう、手伝おうという気にさせるものです。
子ども達はお母さんが役員を通して、学校に関わってくれることが嬉しいのです。

先生の経験から

アドバイス
私がPTA役員を経験したのは、約15年前になります。地区ごとに順番で選出される校外委員が回ってくると聞いた時は、本当に厄介だと思いました。
シングルマザーなのに、残業や休日出勤が当たり前の仕事をしているのにと、やりたくない理由で頭がいっぱいでした。
挙げ句になんとクジ引きで「委員長」になってしまったのです。よりによって「長」とは、本当に困ったなと思いました。
委員長なんて一番大変で、仕事量も多いだろうと思い込んでいたのです。

でも決まった以上はやるしかない。
そこで、やれることとやれないこと、やれないことの代わりに私ができることを予め他委員の方にしっかりと伝えておくことで、周りの理解、協力が得られました。
また会社にも、PTA役員になったこと、役目と状況などを伝えて理解してもらいました。
「なんとかなるもんだ」と感じた一年でした。

そして二人の子ども達は、学校に関わる私をとても嬉しそうに見ていた印象が残っています。

初めての経験の中で、それまで気付かなかった自分自身との出会い、知り合いができたこと、工夫し協力し合いやり切った自分の成長体験など、多くの恩恵がありました。
私達の子どもの成長と安全のために、こんなに多くの人が関わり、様々な活動があったんだと知った時は目から鱗でしたし、感謝の気持ちでいっぱいになりました。

今回の内容があなたの今後の不安を取り除き、意識をメリットに目を向けてPTA活動に関わっていただければ幸いです。

記事を書いた人

ライフプログラミングセラピーの創始者。専門的な用語をほとんど使用しないカウンセリングやセミナーが、理解しやすいと評判に。
PTA役員
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