酵母葉酸とは?天然葉酸や合成葉酸との違いとメリット・デメリット

酵母葉酸(葉酸含有酵母)とは
妊娠中や妊活中に葉酸を摂取したい女性や、健康的な毎日を送るために葉酸を摂取したいと考えている人には酵母葉酸がおすすめです。
酵母葉酸とは、モノグルタミン酸葉酸(合成葉酸)を酵母に取り込ませて発酵・培養した葉酸のこと。
化学的な合成物質を使わずに清酒に使われる酵母の力で葉酸を増やし、余分なもの(異性体)を無くすことによって吸収率が高くなる酵母葉酸は、酵母菌の力によって作られる安心・安全な成分です。
酵母と結びついていない合成葉酸よりも安全性や体内への吸収性において多くのメリットがあります。
酵母葉酸は合成葉酸
葉酸は大きく分けて、合成葉酸(モノグルタミン酸型)と食べ物に含まれる葉酸(ポリグルタミン酸型)の2つ。
妊娠前からサプリメントでの摂取が推奨されているのが合成葉酸です。
酵母葉酸が2種類の葉酸のうちどちらかというと、酵母葉酸は自然に作られる成分ではなく、酵母+合成葉酸でできているので合成葉酸(モノグルタミン酸)に分類することができます。
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合成葉酸を酵母に取り込ませる理由
葉酸はビタミンBの一種で、妊娠初期の女性には摂取が厚生労働省から推奨されている栄養素です。
葉酸には妊娠初期におこる胎児の神経管閉鎖障害のリスクを減らす作用があるほか、造血作用や貧血予防効果があるため、とくに妊娠中や産後の女性には欠かせない栄養素です。
しかも葉酸には心筋梗塞や認知症・脳卒中などの予防効果があることも分かっています。
しかし、葉酸自体は水溶性ビタミンのため食品に含まれる天然葉酸は水や熱に弱く、体内に蓄積しておくことができません。
吸収率が非常に悪いのが難点です。
そのため、葉酸を多く含むほうれん草などの食品からの摂取を基本としながら、手軽に葉酸を摂取できるサプリメントでの摂取が勧められています。
食事からとれる葉酸は、実際に体内に吸収されるのはわずか4分の1程度。
そんな天然葉酸のデメリットを改善させた葉酸がサプリでとれる合成葉酸であり、その合成葉酸を使って作られるのが酵母葉酸です。
ほうれん草などの食材に葉酸は含まれていますし、化学的に合成して葉酸を作ることができます。
それでもわざわざ酵母に合成葉酸を取り込ませる理由があります。
食べ物に近い形で摂取できる
合成葉酸を酵母に取り込ませると、摂取するときの形態が食べ物に近い存在になります。
酵母は化学的に合成したものではなく、自然に存在するもの。
その酵母と結びつけることによって、合成して作った葉酸を食べ物からとる形にすることができます。
酵母葉酸は酵母の力を使って葉酸を増やしています。
いわば酵母と葉酸の養殖をしているといえます。
自然の酵母の力を使って増やした葉酸は天然の葉酸に近い存在になるのです。
異性体が作られない
合成葉酸は天然の葉酸よりも吸収率が高く作られていますが、合成葉酸を作る際に発生する「異性体」まで一緒に体内に取り込むことになります。
異性体とは合成葉酸を作る際に発生するカスのようなもの。
葉酸ではありますが、体内で吸収されません。
吸収率をよくした合成葉酸であっても85%程度なのは、そのためです。
しかし、酵母で葉酸を増やすと異性体が発生させずに合成葉酸を増やすことができます。
吸収効率がよい
葉酸を酵母と取り込ませることで吸収できない異性体を作らないため、合成葉酸よりももっと吸収効率がよくなります。
酵母と取り込ませる葉酸はモノグルタミン酸型葉酸といい、厚生労働省でも摂取を勧められている葉酸のことで、通常の葉酸よりも吸収率が高いことで知られています。
自然の酵母の力を借りて吸収できるモノグルタミン酸型の葉酸を増やすことができるのです。
天然葉酸よりも吸収率の良い合成葉酸のメリットを最大限に活かしながら、なおかつ食べ物に近い形で摂取することができるのが酵母葉酸なのです。
酵母について
酵母とは?
酵母という言葉はよく耳にしますが、より詳しく知ることで酵母葉酸の良さも再確認することができます。
酵母とは、出芽または分裂によって繁殖する菌類の一種のことをいいます。
この菌種のことを酵母菌といい、大きさは約5~10マイクロメートルの球形または楕円形の単細胞生物です。
栄養分に富み、発酵工業をはじめとする多くの食品工業で使用されています。
酵母の種類
酵母といっても様々な種類がありますが、おもに以下の3つの種類に分けられます。
- 醸造用・・・ビール酵母、ワイン酵母、清酒酵母などに使われます
- パン発酵用・・・パン酵母など
- 発酵食品用・・・みそ醤油酵母など
どの酵母も毎日の食卓に上がるようななじみの深い食品ばかり。
酵母は私たちの生活と共存しているといっても過言ではありません。
酵母葉酸に使われている酵母とは
葉酸と結びつけるのに使われている酵母は、ビールやワインなどに使われている清酒酵母になります。
清酒酵母は酵母の中でももともと葉酸の含有量が多いので酵母葉酸を作り出すのに最適です。
酵母葉酸には清酒葉酸が最適であるという研究データは酵母葉酸の特許取得の際にも記載されています。
酵母葉酸のメリット・デメリット
メリット
- 体内での活性時間が長くなるため吸収率がUP
- 合成葉酸よりも安全性・吸収性・生体内利用効率が向上
- 合成葉酸に含まれる、生体が利用できない異性体が作られない
- 合成葉酸よりも栄養価が高くなる
酵母葉酸は天然葉酸(食べ物からの葉酸)や合成葉酸に比べて体内での活性時間が長いことが特徴です。
葉酸が体内に留まっている時間が長くなればその分吸収性が上がり、葉酸のはたらきをじゅうぶんに発揮することができます。
また、酵母葉酸は合成葉酸よりも安全性や吸収性、生体内で利用できる効率が高いのもメリットのひとつです。
それは3つめのメリットである「異性体」が作られないことが関係しています。
異性体に関しては先ほど説明しましたが、合成葉酸に必ず含まれている成分です。
やっかいなことに生体が栄養として吸収できないのですが、化学合成をする際にどうしても発生してしまいます。
体に対してメリットがない異性体を合成葉酸と一緒に摂取しなければならないので、異性体のぶんだけ葉酸の配合率が少なくなり、吸収率が低くなる原因となっているのです。
酵母葉酸は葉酸と酵母菌を使って酵母で増やすことができます。
化学的な合成をしないので異性体が発生しません。
そのため摂取した葉酸のほとんどを体内で吸収することができるため、4つめのメリットであるように高い栄養価の葉酸となるのです。
酵母葉酸は酵母菌という日本人の生活に欠かせない、昔ながらの菌の作用によって合成されています。
化学的に合成するよりも安全に摂取できるところも大きなメリットのひとつです。
デメリット
毎日摂取するには安心でとても良さそうな酵母葉酸にもデメリットは存在します。
- 酵母を培養するためコストがかかる
- 過剰摂取に注意が必要
一般的な天然葉酸や合成葉酸に比べると酵母葉酸は酵母で葉酸を増やしています。
酵母葉酸を作り出すには酵母の培養に適した温度や培養時間などの細かく厳しい管理が必要です。
酵母の品質管理や増殖には化学合成をするよりも時間やコストがかかるため、合成葉酸の葉酸サプリと比べると価格が高めに設定されているのがデメリットです。
また、酵母葉酸は吸収性が高いため過剰摂取にも注意しましょう。
これは、合成葉酸の場合でも同様です。
1日の摂取量を守っていれば過剰摂取にはなりませんが、効果を早く出したいからといって必要以上に摂取すると吸収性の高さから過剰摂取となってしまいます。
葉酸の過剰摂取が原因の副作用は今のところ報告されていませんが、酵母葉酸のメリットがデメリットとならないように、サプリは指定された用法や用量を守って正しく摂取しましょう。
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葉酸サプリは合成葉酸より酵母葉酸がおすすめ?
酵母葉酸は、吸収効率などメリットも多くありますが、デメリットがまったくないわけではありません。
酵母葉酸を使った葉酸サプリは他と比べると高くなってしまうことも。
葉酸サプリの中から酵母葉酸だけが選択肢ではありません。
葉酸サプリを選ぶ時に絶対に酵母葉酸を使ったサプリでなければいけないということでもありません。
合成葉酸を使ったサプリがダメというわけではなく、多くの葉酸サプリのなかで、どれかを選ぶときにいいところのひとつとして捉えればOKです。
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