受精の確率はどのくらい?自然妊娠や体外受精、年齢での変化

赤ちゃんができるという奇跡
妊娠が成功するまでの過程において、最初の大きなポイントといえるのが受精です。
受精とは精子が卵管内で卵子と融合して受精卵になるまでの過程を意味します。
膣の中に射精される精子の数は数億個にも上りますが、子宮内で約99%は死滅し、生き残っても卵管まで到達するのは200個にも満たないといわれています。
そして幸運にも卵子と出会えた1個のみが受精卵となるわけです。
さらに受精した受精卵すべてが無事に出産にまで到達できるわけではありません。
着床~妊娠~出産にいたる確率は決して高くはなく、赤ちゃんが生まれるということはまさに奇跡ともいえることなのです。
受精の仕組みや受精確率、また年齢別の妊娠率や流産率について詳しく見てみましょう。
また妊娠しにくい場合にどんな選択肢があるのか、またその方法と成功率についても触れていきたいと思います。
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精子と卵子の受精確率は?
受精の成立にはまず何よりも精子と卵子の存在が必要です。
さらに精子は男性の精巣内で日々つくられるものですが、卵子は月に1度しか排卵されるチャンスがないため、精子と卵子の出会うタイミングが何よりも大切になってきます。
精子が女性の体内で生き延びる寿命はおよそ72時間といわれていますが、いっぽうの卵子は排卵されてから24時間ほどと短命です。
このことから排卵後できるだけすみやかに受精が行われることが望まれます。
そのためには排卵より前に射精をし、精子を排卵のタイミングまで卵巣付近で待機させておけばよいのです。
排卵日は予測できても排卵時間までは正確に知り得ませんし、精子が受精可能になるのは射精後約6~8時間後なので、性交のタイミングは排卵日に先がけることがポイントになります。
こうしたことから排卵日前後に幅を持たせて排卵日の3日前~1日後に性交することで受精確率が高まるとされ、その確率は約80%といわれています。
これはあくまでもおおよその確率であり、卵子や精子の質などによっても変動することが考えられます。
またせっかく受精に成功しても受精卵が必ずしも着床するとは限らず、着床率となると約50%にまで下がります。
さらにそのまま妊娠が継続する確率(妊娠率)となると、10~20%にまで減少してしまうのです。
年齢別自然妊娠率
医学的な治療を受けずに性交によって妊娠するのが自然妊娠で、多くのカップルができれば自然妊娠で赤ちゃんを授かりたいと願っています。
健康な男女が生理1周期に1回、排卵に合わせたタイミングで性交して妊娠する確率は30歳までは25~30%です。
3~4ヶ月にわたって性交を続けているうちに自然妊娠できる確率はかなり高くなるわけです。
つまり男女ともに健康で避妊をせずに性交を行う場合、年齢が若ければ一定期間のうちに自然妊娠する可能性は高いです。
その反面さまざまな要因で妊娠に至らず、長い間不妊に悩むカップルも少なくありません。
その原因として大きなものが年齢です。
年齢とともに卵子の老化が進んで数も減少するため、受精や着床が成功しにくくなってしまいます。
自然妊娠率は年齢とともにどんどん低下し、35歳になると18%、40歳では5%、45歳ではわずか1%にまで低下します。
年齢別流産率
流産の原因の多くは染色体の異常によるものです。
染色体異常は年齢が上がって卵子が老化するにしたがい発生しやすくなるため、流産率は妊娠率とは反対に年齢とともに上昇します。
30歳では16.5%、35歳では20.1%、40歳では34.6%、45歳では63.2%にまで流産率は高まります。
タイミング法での1回あたり妊娠率
妊娠しにくい場合には、まずタイミング法が試されます。
タイミング法とは、最も妊娠しやすいとされる排卵日の2日前あたりに性交を持つようにして妊娠率を高める方法です。
タイミングに合わせて性交を持つことを繰り返すことで、妊娠する確率を上げることが可能になります。
医師の指導のもとでまず基礎体温をつけながら排卵日を予測し、さらにこの排卵予測に卵胞の大きさやおりものの状態を加えて正確な排卵日の特定を行います。
また排卵誘発剤を使うこともあり、その際の1周期あたりの妊娠率は約4~8%といわれています。
ただし年齢が上がるにしたがって、この数字は減少していきます。
人工授精(体内受精)の妊娠確率は?
人工授精とは、受精に十分な精子を受精の場となる卵管膨大部に届けるために、子宮腔内に良好な精子を直接注入する方法です。
受精が成功すれば自然妊娠と変わらない仕組みで妊娠に至り、1周期あたりの妊娠率は
約8~10%といわれています。
4~6回試しても妊娠しないときには体外受精へとステップアップすることになります。
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体外受精の受精確率は?
体外受精とは、排卵前に採卵手術によって取り出した卵子と精子を体外で受精させ、受精卵(胚)が順調に細胞分裂を繰り返して発育した後に子宮内に移植して着床させる方法です。
体外受精による受精が成功する確率は卵子や精子の質などにも左右されますが、一般的には約70~80%といわれています。
また体外受精で妊娠する確率は年齢と共に低下し、日本産科婦人科学が発表しているARTデータブック(2015年版)によると、30歳で42.1%、35歳で38.1%、40歳で26.1%となっており、45歳では6.9%にまで下がっています。
顕微授精の受精確率は?
顕微授精とは、細いガラス針(インジェクションニードル)の先端に精子を1つ入れ、顕微鏡で確認しながら卵子に直接注入する方法です。
顕微授精は体外受精でも受精が成立しなかった場合、また体外受精を実施しても受精しないと判断される場合に行われます。
顕微授精による受精率も卵子や精子の質によるものの、一般的には約70~80%といわれています。
日本産科婦人科学会のデータ(2012年)によれば、顕微授精での妊娠率は約15~20%となっています。
まとめ
以上、受精率や妊娠率、流産率といった数字を見てみると、すこやかな妊娠を望むならやはり若いうちの方が良いということがわかりました。
しかし現代社会では女性の社会進出や晩婚化により、若い年代で妊娠の機会に恵まれるとは限りません。
妊娠を望んでいるにもかかわらず一定期間を過ぎても妊娠できないという場合には、年齢や体質など、それぞれの状況に合わせて色々な選択肢があります。
不妊治療にはさまざまなステップがあるので、医師と相談しながら進めていくことになります。
- 自然妊娠率は年齢にしたがって低下
- 流産率は年齢にしたがって上昇
- 体外受精および顕微授精では受精確率は高くなる
- 体外受精および顕微授精でも、妊娠成功率は年齢にしたがって低下する
年齢による多様なリスク上昇も考えたとき、場合によっては早い段階で病院に行き治療を開始したほうがよいこともあります。
また自然妊娠を希望する人であってもカウンセリングや検査を受けることで、より早く良い結果につながることもあります。
妊娠を待ち望む人たちにとって、なかなか妊娠できない不安や焦りというのは言葉では言い表せないほど大きなものです。
まずはパートナーとよく話し合い、お互いの妊娠への意識や希望を再確認しておくことが大切になります。
またすこやかな妊娠の基本は何よりも心身ともに健康であることです。
規則正しい生活や栄養バランスのとれた食事を心がけ、日頃からストレスをためないように過ごすことが、ホルモンバランスを整えて生殖機能にも良い影響を与えることにつながります。
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