【妊娠超初期のタバコ】喫煙・副流煙の影響と赤ちゃんへのリスク

妊娠超初期のタバコの影響はあるの?
妊娠が判明する前の妊娠超初期であってもタバコを吸うと赤ちゃんに影響を及ぼす可能性があります。
妊娠に気づく前の喫煙の影響や、ママ本人の喫煙や受動喫煙による胎児への悪影響などについて知っておきましょう。
スポンサーリンク
妊娠前または妊娠超初期に吸っていたタバコの影響は
妊娠前または妊娠超初期の喫煙の影響を心配される方も多いかと思います。
血液を通してニコチンが胎児に移動している可能性もありますし、胎児の成長は続いているのでなんらかの影響は否定できませんが、妊娠に気づいた時点で禁煙すれば問題ありません。
妊娠超初期または妊娠早期に禁煙した場合であれば、出生時の体重や早産への影響も全く喫煙していない妊婦とほぼ変わらないとの報告もあります。
妊娠中の喫煙による胎児への悪影響
タバコに含まれる有害物質であるニコチンと一酸化炭素。
ニコチンは即効性のある強い神経毒性を含むアルカロイドの一種の有毒物質であり、殺虫成分としても用いられるほど毒性が強い物質です。
ニコチンは血管を収縮させる作用があるため子宮胎盤に循環する血液量が減少します。
また、一酸化炭素は、血中のヘモグロビンと結合し身体に酸素を取り込みにくくさせることから血液の酸素運搬機能を低下させ、赤ちゃんに十分な酸素が行きわたらない可能性があります。
十分な酸素が行きわたらないことにより、呼吸器官だけでなく内臓器官全般の成長を阻害するのです。
また胎盤も機能が低下するため、妊娠中や分娩時の合併症が起こりやすくなると言われています。
血液の循環を滞らせ、酸素が十分行き渡らないことによる胎児への影響も言われています。
胎児発育の阻害
喫煙者のママが産む赤ちゃんは体重が200グラム前後少なくなるとも言われ、ヘビースモーカーであれば約450グラム体重が軽くなると言われています。
低体重児の生まれる頻度は約2倍高まるとの報告があります。
喫煙している妊婦は喫煙していない妊婦に比べ、早産・自然流産・周産期死亡(妊娠28週以降の死産と、生後一週間以内の早期新生児死亡)のリスクも高まります。
特に早産率と一日の喫煙本数は相関するデータもあります。
一日の喫煙本数 | 早産率 |
---|---|
非喫煙 | 6% |
5本以下 | 7% |
6~10本 | 11% |
11~20本 | 13% |
21~30本 | 25% |
31本以上 | 33% |
また、早産のリスクが高まることから未熟児が生まれる頻度も高まるなど胎児の発育を阻害するリスクは見過すことのできない悪影響と言えます。
赤ちゃんの知能の低下の可能性
喫煙によって母親の血管が細くなり胎児に酸素や栄養が届きにくくなることから、生まれた赤ちゃんに低栄養や知能の遅れなどを出現させることがあります。
喫煙していた母親から生まれた子供は、喫煙しない母親から生まれた子供に比べ知能指数で4~6ポイント低いとのデータがあります。
また、喫煙する妊婦から生まれた子供は注意欠陥多動障害(ADHD)の「他者への攻撃的性格」が現れやすく、ADHDの発症率自体も2~3倍に増加するとのデータもあります。
妊娠初期の喫煙 | 妊娠後期の喫煙 | 子供が5歳時の喫煙 | |
---|---|---|---|
非喫煙 | 1.00 | 1.00 | 1.00 |
1日1~9本喫煙 | 1.51 | 0.76 | 1.52 |
1日10~19本喫煙 | 2.03 | 0.77 | 1.87 |
1日20本以上喫煙 | 2.16 | 1.13 | 1.29 |
神経管欠損症や無脳症のリスクも
胎児に送られるべき栄養がニコチンによって阻害され、胎児が栄養不足を引き起こすことにより奇形性を引き起こすリスクもあります。
妊娠超初期や妊娠初期の胎児の細胞分裂が盛んな時期に、栄養不足の状態が続くと脊椎の形成が正常に行われず、脳の一部や大部分が欠損してしまうことがあります。
そのため脳が小さく萎縮する症状を伴う神経管欠損症や無脳症を発症させる可能性があるのです。
喫煙による赤ちゃんが生まれた後のリスク
妊娠中だけでなく、出産後も授乳時期に喫煙していると母乳中にニコチン成分が行きわたり、乳児に以下のような影響を及ぼすリスクがあります。
乳幼児突然死症候群(SIDS)の発症
SIDSとは何の予兆や既往歴も無いのにもかかわらず乳幼児が死に至る病気です。
まだ現在のところ明確な原因はわかっていませんが、たばこがSIDSの発症リスクを高めるという報告もあります。
父親と母親が喫煙者である場合、その発症リスクは10倍になるとも言われています。
白血病や小児がんの発症
受動喫煙によりタバコの発がん性物質の影響を受け、乳幼児の遺伝子の異常を引き起こし白血病や小児がんの危険が増大します。
免疫機能の低下
受動喫煙の影響で免疫機能が低下し、気管支炎やぜんそくを起こしやすく重症化する可能性があります。
歯肉の黒ずみ、歯周病
喫煙者の親がいる子供の80%は歯肉に黒ずみがみられるとの報告もあります。
ニコチンの作用により末梢神経が収縮し、歯茎の血流が悪化するためです。
自分が吸っていなくても心配な受動喫煙
周囲の人がタバコを吸っている時に、タバコの煙を吸ってしまう受動喫煙を心配される方もいます。
タバコに火をつけたときに出る煙を「副流煙」、喫煙者がタバコから吸う煙のことを「主流煙」といいます。
受動喫煙の影響として心配されるのが「副流煙」による影響です。
「副流煙」は、ニコチンの量が「主流煙」の2.8倍、一酸化炭素が4.7倍とも言われていますので、受動喫煙の影響をなんとか避ける必要があります。
有害物質 | 副流煙 | 主流煙 |
---|---|---|
ニコチン | 1.27 | 0.46 |
タール | 34.5 | 10.2 |
一酸化炭素 | 148 | 31.4 |
外出時にはマスクをする、パートナーが喫煙者であれば家庭内は禁煙にするなど協力をしてもらいましょう。
禁煙方法
妊娠に気づいたときに禁煙をスタートさせるべきですが、どうしてもタバコを手放せない、手放すとストレスになるといった場合でも、やはりなんとしても妊娠中そして授乳中の禁煙は成し遂げなければなりません。
妊娠中であってもタバコも少量ならいいのではないかという方も中にはいますが、たとえ一本でも、もし生まれてくる赤ちゃんに影響が出たとしたらと考えて即刻禁煙を開始しましょう。
自分だけが頼りの赤ちゃんのことを思う
自分のお腹にいて、ママからの栄養だけが頼りの赤ちゃんのことを思えば禁煙できるといった声も多いようです。
ママがタバコを吸った時、お腹の赤ちゃんがバタバタと苦しそうにするビデオを見たという声もあります。
苦しそうにもがく赤ちゃんを見るとしたら、そしてもし自分のお腹の中で赤ちゃんが苦しんでいるとしたら、その苦しむ姿を想像しただけでも禁煙する力になるという方も多いでしょう。
周りに宣言する、ガムをかむ
一般的に禁煙を成し遂げる方は、「周りの人に宣言する」「ガムをかむ」などという方もいるようです。
妊娠中のママの場合赤ちゃんという絶対に自分しか守れない存在がいるのですから、この大きな存在を味方にしてなんとか禁煙を達成してください。
産婦人科医に相談
どうしても喫煙を繰り返してしまい、禁煙できない場合は、産婦人科医に相談してみてください。
禁煙外来を紹介してくれる場合もあります。
スポンサーリンク
まとめ
妊娠前や妊娠超初期での喫煙や受動喫煙による胎児や乳幼児への影響について説明しました。
妊娠中の喫煙は胎児に、また授乳中であれば赤ちゃんに悪影響を与えるリスクを大きく高めることは間違いありません。
いままで喫煙していても、悪影響に気づいたなら今日からでも遅くありません。
自分と赤ちゃんのために、いますぐ禁煙してください。
喫煙していても無事元気な赤ちゃんを産んだ、という方も中にはいます。
そのような「武勇伝」を読んで自分を慰めていても何にもなりません。
ママが喫煙していなくても、赤ちゃんに細心の気を配っていても何等かの障害や病気を持って生まれてくるリスクはあります。
もしも万が一、自分の赤ちゃんに何か起こったとしたら、何か原因はなかったのかとそのときに後悔しても遅いのです。
タバコは血管を収縮させてしまい、白血球やリンパ球が減り、免疫力を下げます。
ビタミンcが減るので シミの原因にもつながります(老化を促進します)
唾液量が減るので、口内環境も悪化します。
タバコは血液の不健康に直接作用し、 虚血性心疾患・抹消動脈疾患・慢性呼吸器疾患の原因になるとも言われています。
自分自身だけでなく、胎児への悪影響もあり一緒に生活する方の体にも良い影響を与えません。
「何か起こる」そのリスクを少しでも減らすことができると考えてタバコはすぐにやめましょう。
タバコ以外に何か自分なりのストレス解消法を見つけられるとよいですね。
パートナーにも多いに協力してもらい、健康で明るい妊婦生活を送ってください。
引用・参照元:飲酒、喫煙と先天異常
資料7 喫煙の健康影響について|厚生労働省
喫煙と子供への影響 | 医療ポータルサイト
特集 「子どもたちをタバコから守るために」|(3)胎児の脳への影響
受動喫煙とは何か? – すぐ禁煙.jp(ファイザー)
受動喫煙が子どもに及ぼす健康被害 – すぐ禁煙.jp(ファイザー)
記事を監修した助産師

いいね ! しよう