妊娠超初期の飲酒※妊娠に気がつく前に飲んでしまったお酒の影響
妊娠超初期の飲酒は胎児に影響する?
これまでの学説では、胎盤ができていない時期なので直接的な影響はないとされてきました。
しかし、フィンランドのヘルシンキ大学による実験で妊娠超初期でも影響があることが判明しています。
また、妊娠超初期に多量の飲酒をして影響が大きかった場合は、障害を受けて成長できずに流産となる可能性もあります。
研究結果などを受け、米小児学会も妊娠中は禁酒すべきだと発表しています。
少量でも影響を与える可能性が0とは言えないため、少なくても妊娠がわかった時点で禁酒するべきです。
妊娠しているか確認できない時期である妊娠超初期の影響を避けるためには、妊活中は排卵日前頃から生理が来るまでは禁酒するのがおすすめです。
ただし、排卵日や着床時期は予想とずれることもあるので、妊活中から禁酒をするのが確実です。
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妊娠に気づかず飲んでしまった 大丈夫?
すべての妊婦さんが妊娠前から禁酒できているわけではないことは事実です。
妊娠中の飲酒はリスクがあがりますが、少しでも飲んでしまったら100%障害がある、または流産するとは言えません。
妊娠に気がついた時点でお酒を控えることを心掛けましょう。
妊娠初期以降も禁酒が重要
胎盤が完成すると母体から胎盤を通じて胎児にアルコールが入ってしまいます。
胎児は体も小さくアルコールに対する免疫がないため、少量でも深刻な影響が出て胎児性アルコール症候群(FAS:Fetal Alcohol Syndrome)を引き起こすこともあります。
胎児が成長し身体が大きくなる時期でも、大人のようにアルコールを処理することはできず、影響を受けてしまいます。
妊娠している間はどの時期でも禁酒しなければいけません。
胎児性アルコール症候群とは(厚生労働省eヘルスネットより)
近年、出生時だけでなく成長と共に判明する広範囲(スペクトラム)にわたる影響を含めて「胎児性アルコール・スペクトラム(FASD:Fetal Alcohol Spectrum Disorders)」と呼ばれることもあります。
時期 | 症状 | 詳細 |
---|---|---|
胎児・乳児 | 低体重 | 子宮内発育不全 |
顔面を中心とする奇形 | 小頭症・平らな顔・低い鼻・小さい目・薄い上唇など特徴的な風貌 | |
脳障害 | 小脳低形成・難聴・直線歩行困難など | |
成長後 | ADHD | 注意欠陥・多動性障害 |
依存症 | アルコール・ドラッグ |
アルコール摂取時期によって影響する部分が異なる
影響する部分は妊娠期間が進むと体(器官)から脳(発育)へと変化し、妊娠初期は奇形、妊娠末期は発達遅延や中枢神経系機能不全に影響が出ます。
脳への影響は産まれてすぐにはわからないものもあり、成長するにつれて判明するという場合もあるため、胎児性アルコール症候群による症状であるとわからずに過ごしている人も多いと考えられます。
出生数1000人あたり0.1~2名の割合
非遺伝性精神発達遅滞の最多原因となっています。
胎児性アルコール症候群は防ぐことのできる障害です。
全ての妊婦がアルコールを摂取しなければ0名にすることも可能ですが、予想外の妊娠で気づくのが遅れると予防も遅れてしまうため、完全に0名にするのは難しいかもしれません。
100%母親の飲酒が原因
予防法は「妊娠中に飲酒しないこと」のみです。
妊娠したいと思った時点で治療を始める、禁酒の練習をするなどの対策をするのがおすすめです。
父親の飲酒は妊活には影響がありますが、妊娠した瞬間から影響するのは母親の飲酒のみです。
どのくらい飲酒したらリスクがあるの?
1日あたり純アルコール60ml以上の飲酒で、胎児への影響が高頻度で発症するとされています。
純アルコール60mlはお酒の種類(アルコール度数)によって量が変わってきます。
種類 | 量 | |
---|---|---|
ビール | 中瓶2.5本 | 1250㎖ |
清酒 | 約2合 | 400㎖ |
ウイスキー | ダブル約2.5杯 | 150㎖ |
ワイン | グラス4杯 | 500㎖ |
少量を長期間よりも大量を短時間飲酒した方がアルコール濃度は高くなり、発症リスクは上がります。
アルコール依存症を発症している母親は全体の30%以上との報告もあります。
アルコール依存症やそれに近い状態の人は、妊娠がわかってすぐ禁酒するということが難しい場合がほとんどです。
妊娠前にアルコールを飲んでいたとしても、アルコールは1日で代謝されてしまいますから、体内に蓄積することはありません。
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やめようと考えることができなかったり、やめなければと思っても我慢できなくなって飲酒してしまいます。
妊娠がわかったら医師に相談してなるべく早い時期に依存症を克服することが大切です。
また、胎児の脳への障害はたばことの併用でさらにリスクが上がってしまうことがわかっています。
妊娠中は飲酒だけでなくたばこも妊娠超初期からやめるべきです。
受動喫煙による影響も考えられるため、家族にも禁煙を促しましょう。
これぐらいなら大丈夫というお酒の量はあるの?
飲酒が胎児にとって害でること、習慣性、依存症に移行してしまう物であることは、上記に述べた通りです。
これから先、たまにビールをグラス1杯程度(180から200㏄)程度、夫につきあって飲むくらいなら心配することもないでしょう。
だからといって毎日のむことは感心しません。
「健康な赤ちゃんを産みたい」自分の飲酒が原因でリスクのあるお子さんを産んでしまった時の自責の念で、自分が苦しむ結果になることを想像して、「お酒を飲みたい」という気持ちにブレーキをかけましょう。
その他の注意点
チョコレートやケーキなどのお酒の入った菓子やアルコールをとばしきっていない料理にも注意する必要があります。
特に洋菓子には強めのアルコールが含まれていることが多いです。
ノンアルコール飲料を利用する場合も、0%と書いてあってもよく見ると微量のアルコール分が含まれているものもあるので気をつけましょう。
アルコールは一度摂取してしまうと対策もなく、取り返しがつかない状態になるかもしれません。
過敏になりすぎてもストレスになってしまいますが、妊娠中は事前に確認するなどしてから口にするようにしましょう。
厚生労働省にも、妊娠中のアルコールによる影響についてまとめたページがあります。
参照:厚生労働省eヘルスネット:胎児性アルコール症候群
参照:たばことお酒の害から赤ちゃんを守りましょう – 厚生労働省
赤ちゃんのために妊婦に必要な栄養素をとろう!
アルコールとは反対に、胎児の先天性異常のリスクを下げるために、妊活中や妊娠中にこそ積極的に口にした方が良いのが「葉酸」です。
しかし、葉酸は食事からの確実な摂取量がわかりにくい栄養素なので、厚生労働省では食べ物ではなくサプリメントからの摂取をすすめています。
記事を監修した助産師
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