【栄養士直伝!】花粉症対策に効果的な食べ物&悪化させる食品

花粉に鼻や目が敏感に反応して不快症状が出るなど、「花粉が大量に飛散する時期は憂鬱な気分になる…」という花粉症の方は少なくありません。
病院に行って薬を処方してもらい症状を抑え込んだり、マスクや眼鏡でガードしたりと防御するものの不快症状がピタッと治まることはなく、花粉対策にはかなりの苦痛と労力を要します。
そんな花粉症の症状を緩和するための一番効果的な方法は、ずばり体質改善をすること。
体質改善の中でも最も効果的な安全なのが「食事療法」です。
症状を緩和する食べ物を積極的に摂り入れ、悪化させる食べ物を控えることで、花粉症に対する免疫機能を整えられます。
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花粉症のメカニズム
花粉に過敏に反応する人と全く反応しない人がいる理由は、アレルギー性の病気だからです。
花粉というアレルゲンが鼻や目から体内に侵入して粘膜に付着すると、ヒトは花粉を異物と認識し、対抗するためのIgE抗体を作ります。
この抗体が私たちの身体の防御役である肥満細胞にくっつき、それに花粉が接触すると体内でヒスタミンやロイコトリエンなどの化学伝達物質が放出されて神経や血管を刺激し、異物を体外へ排出するためにくしゃみや鼻水、目のかゆみ等の症状が出るのです。
花粉に対する抗体は、花粉との接触を繰り返すうちに体内に蓄積。
この蓄積量がある一定の水準に達すると、花粉症の症状が現れてしまいます。
成人してから初めて発症する方がいるのは、このメカニズムによるもの。
つまり、全ての人が花粉症予備軍ということです。
花粉症対策としての食事療法
花粉症の治療で処方される薬の多くが「抗ヒスタミン薬」。
これはアレルギー反応を引き起こす物質の分泌を抑える作用があるので、症状緩和に効果があります。
しかし薬ではなく、治療に薬物ではなく食事療法を取り入れているクリニックもあります。
花粉症が完治する事はほぼありませんが、症状を緩和させる事はできます。
そのためには過剰な免疫反応を抑え、免疫力を整える事が大切です。
ここで重要なのは免疫力を高めるのではなく、整えるということ。
花粉症はアレルゲンに対する抗体が過剰に分泌されて発症する病気なので、自分の身体を守るために過剰に反応してしまった結果として症状が出るのです。
これは、免疫を高めてしまったのと同じことになり、免疫力が高まり過ぎても身体に異常が生ずる可能性があるといえます。
食事療法で期待できる効果
花粉症対策としての食事療法で、取り入れた方が良いのは「抗ヒスタミン作用を持つ食べ物」です。
花粉に対する免疫力を高める食事を心がければ、アレルギー反応を抑えられます。
食事を見直すことは非常に有効で、花粉症に負けない体質へと変わることができます。
症状が出てから抑えるのではなく、日頃から心がけて改善していきましょう。
また、花粉症のリスクは全ての人が持っているので、今発症していない方も予防として食事を見直すことはとても大切です。
食事療法で避けたい成分
花粉症やアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などのアレルギー症状の原因の1つに、ヒスタミンという物質があります。
ヒスタミンは私たちの免疫系に密接に関わっていて、過剰に分泌されると体外から侵入してきたアレルゲンに過敏に反応し、アレルギー症状を引き起こします。
ヒスタミンは食物から直接体内に取り込まれて生体内で合成されるので、「ヒスタミン作用を持つ食品」の摂取は控えましょう。
さらに、生体内でヒスタミンが合成されるときの原料である「ヒスチジンを含む食品」、
炎症反応に関与しているもう1つの化学物質伝達であるロイコトリエンが生成される「アラキドン酸を含む食品」も控えるようにしてください。
ヒスタミンを多く含む食べ物
次の食品にはアレルギー症状の原因となるヒスタミンを多く含んでいるので控えましょう。
- チョコレート
- 卵白
- サラミ
- 肉類
- ほうれん草
- なす
- チーズ
- トマト など
アラキドン酸を多く含む食べ物
鶏卵、肉類、魚類などの動物性たんぱく質には、体内で炎症反応を引き起こす「ロイコトリエン」の原料となるアラキドン酸が多く含まれています。
タンパク質は三大栄養素の1つで健康維持に欠かせない成分ですから摂取量に注意し、大豆製品などで補うようにしましょう。
花粉症対策に良い食べ物
花粉症対策として効果的な食べ物の成分は、過剰な免疫反応を抑えるもの、花粉に対する免疫力を整えるもの、粘膜の保護、修復を促しアレルゲンの侵入を防ぐものです。
主な効果条件にあてはまる以下の成分をチェックして、花粉症対策としての食品選びの参考にしてください。
抗炎症作用をもつ成分
- ポリフェノール(ケルセチン、タンニン)
- ミネラル(セレン、亜鉛、マグネシウム)
免疫力を整える働きを持つ成分
- オメガ3(EPA・DHA、αリノレン酸)
- 乳酸菌
粘膜の保護、修復を促しアレルゲンの侵入を防ぐ成分
- タンパク質
- ムチン
- ビタミン(A、B2、B6、ビタミンC)
- 亜鉛
花粉症に効く食べ物10選
①レンコン
レンコンが酸化して黒ずむ原因であるタンニンの成分には抗炎症作用があり、粘り成分のムチンには粘膜保護作用があります。
この2つの相乗効果により、非常に高い効果・効能が期待できます。
②玉ねぎ
抗ヒスタミン作用の強いケルセチンが、アレルギー症状を抑制。
肉などに含まれるアラキドン酸の生成も抑制してくれるので、肉料理を食べる際には一緒に食べましょう。
③大根
消化酵素の1種であるジアスターゼがヒスタミンの分解を促進。
熱に弱いので、大根おろしなど生で食べるようにしましょう。
④ふき
数種類のポリフェノールを含み抗酸化作用が高く、免疫機能を正常に保つ働きがあります。
鉄分や亜鉛などのミネラル、ビタミンA、ビタミンB郡、ビタミンEも豊富です。
⑤キクラゲ
免疫機能を正常にするビタミンDが豊富で、アレルギー症状の緩和が期待できます。
⑥青背の魚(アジ、イワシ、サンマなど)
免疫力の働きを正常化するEPA・DHAを豊富に含み、良質なタンパク源です。アラキドン酸の生成も抑制します。
⑦ヨーグルト
乳酸菌が腸内環境を整え、免疫力の活性化をサポートします。即効性はないので、腸の環境改善を目的に継続して摂取しましょう。
納豆などの発酵食品にも同様の効果が期待できます。
⑧ごま
ごまに含まれるセサミンにはアレルギー抑制効果があり、花粉症の原因となるアラキドン酸の生成を抑制します。
⑨しそ
しそに含まれるαリノレン酸は体内でイコサペンタエン酸と呼ばれる抗炎症作用を持つ物質に変化し、アレルギー症状を抑えます。
⑩生姜
体を温める食材として有名ですが、血行を良くして体温を上げる効果により免疫力を整えられます。
抗炎症作用も高く、特に加熱した生姜に含まれるショウガオールという成分がよく効きますので、スープなどに入れて飲むといいでしょう。
花粉症に効く飲み物
花粉症に効果があるとして有名な「甜茶(てんちゃ)」は、甜茶ポリフェノールという成分を含んでいます。
この成分はヒスタミンを抑える抗ヒスタミン作用を持ち、くしゃみや鼻水のアレルギー反応を抑制。
甜茶ポリフェノールはヒスタミンの放出そのものを抑えてくれるので、花粉症の発症原因の大元に働きかけてくれます。
そのため、食品の中でも最も花粉症対策としての効果が高く、即効性が期待できます。
ただし、バラ科の「甜葉懸鈎子(てんようけんこうし)」の甜茶でないと花粉症への効果がないので、購入時には必ず確認しましょう。
花粉症に悪影響を及ぼす食べ物
アレルギー作用の原料となる「ヒスタミン」「アラキドン酸」はもちろん、花粉症の症状緩和を阻害する成分、免疫機能を低下させる成分、アレルギー反応を誘発・悪化させる成分の摂取は控えましょう。
花粉症に良くないとされている以下の成分が含まれている食べ物の摂取は、出来るだけ避けるようにしてください。
免疫機能を低下させる成分
- トランス脂肪酸
- グルテン
アレルギー反応を誘発・悪化させる成分
- アルコール
- 亜硝酸塩
- 糖質
- 香辛料
花粉症を悪化させる食べ物
糖類
砂糖を使った甘い食べ物は、身体を冷やして血行不良を引き起こします。花粉症の炎症が悪化しやすくなるため、注意が必要です。
ファーストフード
腸管や皮膚の細胞膜に隙間を作るトランス脂肪酸を多く含み、摂取し続けることで免疫力を下げてアレルゲンが体内に侵入しやすくなってしまうため、花粉症リスクが高まります。
また、食物油やマヨネーズに多量に含まれているリノール酸が、アレルギー症状を促進させます。
嗜好品
アルコールは粘膜の毛細血管を刺激するとともに、アルコール成分が体内で分解される時に生成されるアセトアルデヒドが症状を悪化させます。
また、とうがらし等の辛みの強い香辛料も粘膜の毛細血管を刺激し、症状を悪化させます。
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日常生活での心がけが大切
花粉症の症状緩和のための食事対策は、「食べたから症状が治まる」といった即効性は低く、花粉症の症状を発症させない体質作りを目指すもの。
継続することで症状の改善が少しずつ感じられる様になります。
花粉症の食事対策としては、炎症反応を抑制する食品と免疫力を正常に保つ食品をバランスよく摂取することがポイント。
炎症を誘発したり悪化させたりする可能性のある食品は、控えることをおすすめします。
食事での花粉症対策は、薬のような副作用の心配もなく安全で、ダイエットのように食事量の制限をするものではないので、無理なく続けていけるところも魅力です。
すぐに治らないから効果が無いと決めつけて中断するのではなく、日頃から花粉症に強い身体を作る食生活を心がけていきましょう。
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