乳腺炎になる前に!母乳つまりの原因と繰り返さないための解消法

当てはまってる?母乳詰まりの種類と症状
乳腺炎の主な症状には、乳房の腫れや熱感、圧迫による痛み、発熱、悪寒、インフルエンザのような全身の痛みなどがあります。
このつらい乳腺炎を招く可能性のある「母乳詰まり」のさまざまな症状について紹介します。
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白斑(はくはん)
乳管に母乳成分が詰まり、乳頭部分(ちくび)に白いできもの(乳口炎)が現れ痛みを伴います。
白いニキビ状であったり、口内炎状の見た目であったり、またはできものになる前は白みがかっています。
母乳の出口を塞いでしまっている状態です。
全く痛みを感じない場合もありますが、白斑に触ると痛みを感じ授乳の際に支障が出ることも。
うつ乳
母乳の通り道である乳管や乳腺が詰まっている状態で乳腺炎になる手前を指すことが多いうつ乳。
乳腺が腫れたりボコボコとしたしこりが現れたりします。
乳腺炎の一歩手前とはいえ、母乳が詰まっていることからくる寒気や倦怠感、発熱が伴うこともあります。
腫れ・炎症・しこり
うつ乳の症状にも含まれますが、母乳が詰まった部分が固くなり、しこりとなる場合があります。
詰まった乳腺に炎症を起こし腫れや熱を帯びるといった症状が現れます。
しこりや腫れはさわると痛む場合が多く、解消しても繰り返すこともあります。
うっ滞性乳腺炎
乳腺や乳管の中に母乳が溜まり流れが滞っている(うっ滞している)状態。
細菌感染が原因ではなく、母乳が乳腺内に溜まっていることが原因で起こる乳腺炎を指します。
痛みがあり、乳房全体が腫れて硬くなるなどの症状が現れます。
うっ滞(母乳のつまり)がひどくなると、自分でマッサージすることすらできなくなるので早めのケアが重要になります。
急性化膿性乳腺炎
乳管口や乳頭の傷口から細菌感染し炎症が起きている状態です。
強い痛みを伴い乳房は赤く腫れ、高熱が出る場合が多くあります。
口腔内細菌としても常在している黄色ブドウ球菌への感染がほとんど。
正常な場合は母乳の流れによって細菌は洗い流されますが、うっ滞性乳腺炎を発症している場合は細菌が母乳に残留し化膿性乳腺炎へと進行してしまうことがあります。
高プロラクチン血症
プロラクチンは母乳の分泌を促すホルモンです。
ホルモンバランスの乱れなどにより血液中のプロラクチン濃度が高まると、高プロラクチン血症を引き起こし母乳の過剰分泌を招く可能性があるとされています。
妊娠や出産をしていないのに母乳が出る症状が特徴的です。
産後の場合は母乳過多や生理不順、無排卵などを引き起こします。
下垂体腫瘍や視下体異常、薬の副作用が原因となることが多くありますが、授乳が原因でプロラクチンが多く出すぎてしまい、発症することも。
母乳が多く出るため、乳腺炎にもなりやすく服薬での治療が行われることが一般的です。
乳腺や乳管などの炎症が原因となり高熱を出すことも。
しこりや腫れと同時に起こることが多く、悪寒や震え、全身の倦怠感などの症状が現れる場合もあります。
38度以上の高熱と同時に関節痛も感じた場合にインフルエンザや風邪と間違えることもあります。
風邪のように栄養や安静だけでは発熱がおさまることはなく、炎症が原因のため、炎症が治まるまで発熱が下がることはありません。
発熱は乳腺炎だけでなく、うつ乳時にも症状として見られます。
母乳がつまる原因とは
母乳がつまる原因は大きくいうと赤ちゃんの飲む量よりも母乳の量が上回っていることが原因です。
赤ちゃんの飲み方がまだあまり上手でなかったり、飲み方や感覚に偏り・ばらつき・飲み残しがあったりする場合などに母乳が残ってしまうことも。
授乳の際、片側ばかり飲ませていると反対側のおっぱいのつまりを招いてしまいます。
乳管はひとつではないため同じ姿勢、同じ方向からの授乳も、決まった乳管からの排出に限られてしまい母乳が排出されない乳管が詰まる可能性も。
たくさん飲んでいる、あげていると感じていても、おっぱいの中で一部の乳管には飲み残しが溜まってしまっていることがあります。
吸う力が弱い赤ちゃんの場合は、母乳を効果的に飲むことができずに飲み残した母乳がつまりの原因となってしまいます。
ワイヤー入りのブラジャーやきつい下着などの締め付けが母乳をうっ滞させることも。
また体質的な乳腺の細さが詰まりの原因となる場合も考えられます。
生活リズムの乱れ
睡眠不足やストレス、疲労が溜まってしまうことが母乳詰まりの原因となる可能性も。
ストレスによって自律神経が乱れ、血行が悪くなることでリンパの流れに影響し母乳がつまってしまうこともあります。
他にも、疲労やストレスなどから体力が落ち、細菌に感染しやすい状態になることで化膿性乳腺炎になる可能性もあがります。
栄養不足や寝不足などの生活リズムの乱れは、お母さんの健康状態に悪い影響を及ぼし、母乳の供給に影響する心配があります。
食事と母乳
母乳は血液からできています。
偏った食事内容や不規則な食生活は、ママ自身の栄養不足や貧血などの健康トラブルを引き起こすともいわれています。
母乳は血液から作られているためママが健康でないと乳房トラブルを招く可能性があるとされています。
乱れた食生活を続けることは健康被害を招く恐れがあり、母乳を与えることに影響がある場合も。
母親の栄養不足の状態は、母乳に必要な栄養成分を確保できない可能性が心配されます。
WHO(世界保健機構)のが2000年に発行した乳腺炎について言及した資料には以下の文章があります。
Nutritional factors have often been thought to predispose to mastitis, including high salt
intake, high fat intake, and anaemia, but the evidence is inconclusive.
引用:Mastitis Causes and Management
高塩分、高脂肪、貧血など、栄養が乳腺炎の原因としばしば考えられるが、証拠は確定的ではないと書かれています。
WHOが出した乳腺炎に対する文書からは、まだ母乳が食事に関係する詳細はわかっていないものの、母親の摂る栄養素は母乳に影響するということは考えられています。
日本では昔から母乳の出をよくするといわれる食べ物が推奨されたり、母乳が血液からできていたりすることなどから考えても偏った食事を続けることが母乳に影響するとも言えるでしょう。
母親の体のためにも、バランスの取れた食事をすることを基本とし、脂肪分などの食べ物が摂りたい場合は適度に摂ることを目安にしましょう。
母乳つまりを解決するには
積極的な授乳
母乳つまりの解決には、詰まった母乳を体外へと排出させることで効果が期待できるとされています。
授乳回数や授乳時間に制限を設けずに赤ちゃんが欲しがるだけ与え、しっかりと飲んでもらうことが母乳つまりの解決につながるのです。
これまでよりも授乳回数を増やし、横抱きや縦抱きや脇抱きなど授乳体勢を毎回変えてさまざまな方向から吸ってもらうことがポイント。
浅い吸着ではしっかりと吸えないので、乳輪付近まで深く赤ちゃんの口に含ませるようにしましょう。
しこりや張りのある部分に赤ちゃんの下顎が当たるような角度で授乳するのも効果的。
赤ちゃんは下顎の吸う力が強いので、溜まっていた母乳がスムーズに排出されやすくなります。
おっぱいが張りすぎて痛い時や赤ちゃんが飲みにくい時には、搾乳をして張りを解消させましょう。
搾乳方法には手を使う方法や搾乳器を使う方法があります。
直接授乳ができない時でも搾乳をしておくと、つまりを解消し母乳の分泌を維持することができます。
乳房のケア
母乳のためのおっぱいのケアには、乳房を温めと冷却を状況に応じて使い分けましょう。
母乳詰まり、「冷やす」と「温める」の使い分け
授乳の前には温めて血行を促し、母乳が出やすい状態にしましょう。
シャワーを浴びたり温湿布や温めたタオルを利用したりといった方法があります。
授乳や搾乳をしても熱や痛みが残っている場合は冷やすことで痛みや腫れを軽減する効果が期待できます。
張りが強く熱を帯びている場合やしこりがある場合は冷やすと楽になります。
冷却ジェルシートやタオルでカバーした保冷剤などを利用して冷やしましょう。
民間療法でキャベツを乳房にかぶせる方法があります。
冷たいキャベツが熱をとり、緩やかに症状を緩和してくれるということですが、キャベツに特別な作用があるわけではありません。
冷やしすぎないつめたさのキャベツがちょうどよかったのかもしれませんが、今は冷却ジェルや保冷剤などがあり、カバーで温度を調節すればOK。
あえてキャベツを使う必要はありません。
母乳は温めることで出がよくなる一方で、冷やしすぎると熱や痛みは和らいでも母乳の出を妨げてしまうことになります。
冷やす場合は痛みの応急処置と考えましょう。
母乳つまりを解消するにはおっぱいを温めて授乳や搾乳、痛みや熱がひどい場合にはおっぱいを冷やす、使い分けが必要です。
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乳房マッサージ
しこりがある部分や腫れて熱を帯びている部分は、授乳前に乳頭に向かってマッサージをして排出しやすい状態にほぐします。
授乳中にも乳頭に向かってマッサージを行い母乳の流れを良くしましょう。
おっぱいマッサージは母乳外来や母乳の専門家、助産師さんなどでも対応しているところが多くあります。
どうやったらいいかわからない場合、何度もつまりを繰り返す場合や症状が改善しない場合などに頼ることが出来ます。
特になかなか改善しない場合や全体的に体調が悪くなってきた時などは無理に自己対処せず、専門家の力も借りましょう。
出産した産科施設や近くの産婦人科、乳腺外科などで対応してくれます。
おっぱいマッサージだけでなく、化膿性の乳腺炎の場合は抗生物質など状況にあわせて治療をしてくれます。
休養や食事をしっかりとる
ストレスや生活の乱れ、また肩こりなどが影響している場合も考えると、体をゆっくり休める時間を確保することが必要です。
母乳つまりの解決には、必要な栄養素をバランスよく摂取し十分な睡眠を取ることが大切です。
家事や育児など周囲に協力してもらい体を休めるようにしましょう。
食事や栄養バランスを見直そう
食事は栄養バランスのよいメニューを心掛け、必要な栄養素で満たされた体の状態を維持することが大切です。
主食・副菜・主菜にプラスして乳製品や果物を取り入れた食事内容となるよう見直しましょう。
とは言え、いつもいつもバランスを考えて完璧な食事を作り続けるのも大変。
NGフードや母乳にいい食材にとらわれすぎず、不足しがちな栄養素を補う程度でもOK。
深く考えすぎたり、栄養バランスに悩みすぎるのも問題です。
毎日頑張りすぎず、家族の力を借りたり、手軽に不足した栄養素が摂れる工夫を。
母乳つまりを予防する
何度も繰り返さないためには母乳のためにできる予防法を考えましょう。
原因にもよりますが、自分自身のおっぱいと母乳の状態を毎回確認することが必要です。
母乳つまりの予防には日ごろからおっぱいの状態をよく観察し、しこりや張りのチェックすることが大切です。
- 硬くなっているか
- 痛みがあるか
- 赤く熱を帯びているか
上記をチェックし、母乳つまりの兆候を見つけられるようにしましょう。
授乳後に飲み残しの張りが残っている場合、搾乳して取り除くことが予防につながります。
母乳にいい食事と悪い食事
母乳にいい食事のポイントは、必要な栄養素をバランスよく摂取できる内容であること。
主食からはエネルギー、副菜からはビタミン・ミネラル・食物繊維、主菜からはたんぱく質といった栄養素を摂取できるメニューを心掛け、
これらに乳製品をプラスしてカルシウムを補いましょう。
母乳がよく出るようになるためには健康な体が必要です。
母乳にいい食べ物を摂るというよりは健康な体を維持していくように考えましょう。
甘いもの、油分の多いもの、塩分の高いものは多く取り過ぎると悪い食事となってしまい健康被害を招く恐れがあるので注意が必要です。
食べると乳腺炎になる食材や食事は根拠がわかっていませんが、母乳が血液からつくられていることから考えても不健康な食生活を続けるよりはママの食生活のバランスを大切にしましょう。
母乳にいい食材=ママの体調を整える
昔から母乳の出がよくなるといわれている食べ物があります。
例えば、もち米です。
もち米は昔から母乳の出がよくなるといわれていますが、昨今ではカロリーが高すぎるなどで授乳期には向いていないとも言われることも。
母乳に直結して「いい食材」というのは根拠がありませんが、母乳をつくるためのママの体にいい食材とそのバランス、量を総合して考えましょう。
食事は体調を整えるのに役立ちます。
例えば冷え性や血行が悪い状態を感じているのであれば、食事でも改善を目指せます。
体を温める作用があり、体の血行がよくなるものは積極的に摂りたい食べ物のひとつ。
根菜(大根・にんじん・レンコン・さつまいも・しょうがなど)は通説では母乳の質がよくなり、おいしくしてくれる食材とも言われていますが、実際にカラダを温める作用があるといわれています。
小豆や青菜(ほうれん草、小松菜、ケールなど)、海藻、甘酒も体調や食生活のバランスを整えるのに役立ちます。
授乳期のNGフードはある?
関連性はあると考えられてはいるものの、具体的な根拠がないため授乳期に不向きといわれる食べ物が本当に食べてはいけないのかは疑わしいところ。
また、母乳は食事だけできまるわけではないので、いくらバランスよく栄養を摂ることができていても授乳回数が少ない場合は母乳つまりトラブルになってしまうかもしれません。
例えば甘いものなど好きな食べ物ばかりを食べ過ぎてしまうと、必要な栄養素が摂取できずに好きな食べ物がNGフードとなってしまいます。
その食べ物自体がNGなのではなく、量や他の食事とのバランスが重要であり、母親の体が健やかであるように調整して食べることが重要です。
授乳期間は食べたものをなんとなく覚えておくことで、自分の体質と母乳の出、食事について見直すことができます。
特にしこりや腫れを感じた場合はその前の食事や生活リズム、授乳リズムについて見直すなどで授乳期間を通して対応しましょう。
乳腺炎?乳がん?しこりが気になる!
乳腺炎のしこり
乳腺炎のしこりは乳腺に母乳が詰まって生じるもので圧迫すると痛みがあり、赤く腫れることもあります。
授乳や搾乳で詰まっている母乳を排出することで、しこりは消失していくことがほとんどです。
がんのしこり
乳がんのしこりに痛みはなく、押しても動かずに硬いという特徴があります。
しこり部分の皮膚表面に、えくぼのような窪みが生じることも。
また乳頭からの分泌物に血液が混ざることもあります。
授乳期の乳がん
授乳期の乳がんの代表的な症状は、しこり、乳頭の陥没や異常分泌、皮膚の陥没やひきつれなどがあります。
また1つの乳管からのみ出血が続く場合には注意が必要です。
授乳中に乳がんになることは確率的には多くないことがわかっていますが可能性はゼロでもありません。
心配な場合は受診してみましょう。
乳がん検診は授乳中でも可能ですが、乳腺の発達により必ずしも正しい判断ができるとは限らないのも事実。
それでも自己判断よりは、検査を受けておくと安心できます。
卒乳をめざす時の母乳つまり
卒乳をめざす時、少しずつ授乳回数を減らしていくことが母乳詰まりを防ぐポイント。
母乳回数を徐々に減らすことで作られる量が段階的に減り、子どもが飲む量と母乳の作られる量のどちらも同時に減らしていきます。
極端に授乳する回数や量を減らすと母乳が余ってしまい、母乳が溜まっていってしまいます。
母乳が溜まった状態が続くと詰まりを招く可能性があるので、張りが強くつらい場合には軽く搾乳しましょう。
卒乳を進行している段階で母乳が詰まってしまった場合には、赤ちゃんに吸ってもらったり搾乳したりと授乳時期と同じような対処法が有効です。
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