ランドセルのプロが助言!親子で大満足するランドセルの選び方

ここ20年ほどの間にランドセル事情は大きく変わりました。
赤と黒が主体だったカラーは、ピンクやキャメル、中には全面ゴールドのものまで登場するなど多種多様になっています。
刺繍や反射材を使ったワッペンなどの豊富なデザインパターンに親子ともども目移りしてしまい、どれを選んだらいいのか迷ってしまうところ。
そこで今回は、老舗ランドセルメーカー「セイバン」の直営店を訪ね、セイバン心斎橋の店長でありランドセルコンシェルジュの肩書きも持つ石田ゆうさんと、広報担当の上田彩乃さんに、ランドセルの最新人気情報や選び方の基準などを教えていただきました。
ぜひ、家族でランドセル選びをするときの参考にしてください。
ランドセルコンシェルジュ誕生の理由
── 「ランドセルコンシェルジュ」はまだ珍しい存在かと思いますが、なぜこのような職種を取り入れたのでしょうか?
上田:ランドセルコンシェルジュというのは、ランドセルの専門知識を持ったプロアドバイザーです。
お客様から、「百貨店や量販店にランドセルの知識のある店員さんがいない場合は、デザインとカラーで選ぶしかない」といった声をいただきました。
そこで、ランドセルの製造工程や選び方、お手入れの方法などの専門知識を持っている“プロのアドバイザー”を直営店に常駐させようということになったのが、ランドセルコンシェルジュ誕生のきっかけです。
── ランドセルコンシェルジュは名古屋、東京、大阪にあるセイバン直営店にそれぞれ1名ずついらっしゃるんですね。
上田:そうですね。
社内資格であるランドセルコンシェルジュは、ランドセルに関する知識を見極めるテストに合格した者のみに与えられる肩書きです。
石田:今年中にはもっとたくさん、コンシェルジュが増えていくと思います。
ただ、店頭にいるスタッフなら誰でもきちんとランドセルについての知識はありますので、気軽に相談してください。
春になったらランドセル選びを開始!
── ランドセル購入時期のピークはいつ頃ですか?
上田:2017年4月にご入学される方ですと、7月から8月頃がピークとなっていました。
その前年は、8月と9月が購入のピークでしたので、1カ月ずつ前倒しになっているような状況です。
── やはり、年々早めになっているんですね。
石田:そうですね。みなさん年長さんの4月になると「そろそろランドセル選びをしないと」と意識され、カタログをお求めになる方も少なくありません。
ゴールデンウィークくらいから来店される方が増えて、6月になると実際に購入される方が多くなります。
購入のピークは夏休みくらいですね。
── そうすると8月を過ぎると、選べる種類が限られてしまうのでしょうか。
上田:そうですね。色が少なくなるということはあります。
ただ、完売してしまうことはないのでじっくり選んでいただいたほうがいいですね。
── 現在の平均的なランドセルの価格帯はいくらぐらいなのでしょうか?
上田:ランドセル市場全体の平均価格が約5万5千円になっています。
セイバンで取り扱っているものも平均価格は約6万円になります。
最新の男女別人気ランドセルの実態とは?
── 最近のランドセルの人気傾向を教えてください。女の子にはどのようなデザインが人気ですか?
石田:やはり華やかで可愛らしいビビッドピンクが人気です。2017年度モデルはパールのピンクも人気色でした。
上田:当社の製品ですと、お姫さまをイメージしたモデルロイヤル・レジオ プリンセスのパールピンクは人気商品です。
石田:このモデルロイヤル・レジオ プリンセスは、お姫様にあこがれる女の子の夢が詰まったシリーズ。
側面のティアラやリボンの刺繍、フタの内側に馬車やお姫様の柄が入るなど、童話の世界が広がっています。
スワロフスキーも付いているので「キラキラが付いてる!」とお子様自身が気に入って選ばれることが多かったですね。
── ピンク以外にも人気色はありますか?
石田:はい。お母さまの間では、やはりブラウン系の人気が高いです。
2017年度モデルのキャメルは完売してしまって、現在店頭には出してない状態です。(2017年2月末時点)
── どの色もそれぞれ需要があるんですね。
石田:そうですね。意外とみなさんそれぞれ好みが分散しているようです。
上田:女の子でも黒のランドセルを持ちたい、というお子様もいらっしゃいます。そういう場合は男女兼用のランドセルから選んでいただいています。
── 男の子のランドセルの人気の傾向はいかがですか?
上田:男の子はいつの時代も本体は黒が定番カラーですね。
その分ステッチの色を変えて個性を出すのが、最近の男の子の人気傾向になっています。
2017年度モデルは特に、本体はブラックでステッチがマリンブルーという組み合わせが人気でした。
石田:あとは男の子ですと、「丈夫な製品が欲しい」という方が多くいらっしゃいます。そういった方には当社ですと、ワンパというシリーズをおすすめしています。
はっ水性が高く、キズがつきにくいのでわんぱくなお子様でも安心です。
上田:耐傷性の高い生地を使っているので砂場などに直接置いても大丈夫ですよ。
石田:人工皮革(クラリーノなど)を使っている製品も傷がつきにくいのが特徴なのでおすすめです。
ランドセル選びのチェックポイントと注意点
── ランドセル選ぶ際のポイントについてアドバイスをお願いします。
石田:お子様が6年間背負うものなので、背負いやすさやフィット感を第一の基準にしていただきたいと思います。
上田:ランドセルを選ぶ際には、まず実際に背負っていただいて、お子様の背中とランドセルがしっかりと密着しているかどうか確認していただきたいですね。
背中とランドセルが密着していれば、ランドセルの重みを肩だけでなく背中や腰など全体で支えられるので、負担が少なくなります。
石田:セイバンのランドセルは商品によって形状が少し異なることもあるので、実際に試していただければ、と思います。
体に密着する背あて部分にはブレスレザーという吸湿速乾性のある素材を使っているなど、ものによってそれぞれ特徴的な機能があるのでチェックしていただきたいですね。
直営店には22モデル、全72種類すべてそろっていますから、実際に比べて選んでいただけます。
── 安全面についての機能などもあるのでしょうか?
上田:安全面でいうと、本体側面にある給食袋などを下げるフックに注目していただきたいです。
側面フックはどのランドセルにも付いていますが、ある一定の力が加わったときに根元から外れる機能のあるものが良いでしょう。
側面にぶら下げた荷物が原因の巻き込み事故などもありますので、お子様の体重より大きな力がかかっても外れないようでは危険です。
あとは、肩ベルト・両側面・カブセ(ふた部分)の下と、前後左右に反射材が付いているかどうかもきちんとチェックしていただきたいです。
── ポケットなども最近のランドセルは充実していますよね。
上田:そうですね。当社の製品ではファスナー付きのポケット内部に家の鍵などをつけられる金具もついています。
石田:ファスナーも下までしっかり開きますよ。
上田:お子様でも手を入れやすくて使いやすくなっています。
石田:また、昔はお子様の氏名もランドセルの外側に書いていましたが、今はポケットの中に名札を入れるようになっているモデルも増えてきています。
上田:名前を呼ばれてしまうと、知り合いかと思ってついていってしまうお子様がいるかもしれませんから。
── 肩ベルトの正面にある金具は何のためについているんですか?
石田:防犯ブザーを付けるための金具です。
いろいろなメーカーさんからさまざまなタイプの防犯ブザーが出ていますので、それぞれ対応できるように種類の違う金具が付いています。
すぐ体がパッと反応できる位置に防犯ブザーを付けられるようになっています。
── 昔は高学年になると、ランドセルがぺちゃんこに潰れてしまっている子がいましたが、耐久性も大事ですか?
石田:軽いランドセルをお求めになるお客様も多いのですが、軽すぎるのもあまり良くありません。
上田:軽量化にこだわりすぎると必要な部分を軽く小さくしたり、そぎ落としたりすることになってしまうのですが、耐久性を考えるとこれはあってはならないこと。
当社では、本体を軽くするということよりも、重い荷物を入れたときに、いかに軽く感じていただけるかという機能に重きを置いて開発しています。
石田:たとえば、底敷も実はちょっとだけ坂道になっていて、片方が低くなっているんですよ。
低いほうを背中側にセットしていただくことによって、教科書やノートが背中側に倒れます。
背中と反対側に倒れてしまうと重く感じてしまいますので、ちょっとでも負担を軽くする工夫をしているんです。
また、取り出し口のところに型崩れ防止の素材が入っているので、上から押されても、横から押されても元の形に戻りますよ。
上田:実際に売り場でちょっと押してみていただき、きちんと元の形に戻るかどうかチェックしてみてください。
ランドセル選びの優先権は親?子供?
── 本人に選ばせるほうがいいのか、親が選んでいいのかという悩みを持たれる方も多いようです。どちらの意見を優先させるのが良いのでしょうか?
石田:お店に来る方は、やっぱり選ばせてあげたいというご両親が多いです
ただし、これだけカラーバリエーションがあると当然ながらお子様も目移りしてしまいますよね。
親御さんからすると6年間使うのにこのデザインでいいのかしら、と不安になる方も少なくありません。
── 地域の傾向で選んだほうがいいのか、という声もありますが、やはりそこは押さえておいたほうがいいポイントなのでしょうか。
石田:確かに、お子様が入学予定の小学校の通学風景を見て、赤の傾向が強ければ合わせた方が良いのではないのかと考えられる方もいます。
実際のところ、小学校に通うときに自分だけ違うのが不安になるお子様もいれば、逆に自分だけ違うことがうれしい子も。
いずれにしても地域のランドセル傾向を調べた上で、自分のお子様の性格にあわせて選択するのが良いでしょう。
── できれば、みんなが納得いくようなのが一番いいですよね。
石田:それが一番私たちも嬉しいですね。
── 1年生のときに選んで6年間使うので、刺しゅうやステッチがある可愛らしいのが良くても、6年生になったらどうなんだろうと不安になる親御さんもいます。
その辺りは考慮せずに、子どもの選択に任せてしまってもいいんでしょうか。
石田:そうですね。お子様によってそれぞれ好みもありますから。
今はランドセルカバーもかわいいものがいっぱい出ているので、こういったもので気分を変えられる方もいらっしゃいます。
ランドセルカバーはフタの部分に付けて傷や汚れ防止になりますし、特に女の子に人気です。
高学年のお姉さまがカバーを買いに来られることもあります。はっ水加工もされているので雨対策にもなりますよ。
セイバン「天使のはね」の意外な真相
── セイバンのブランドについても伺いたいのですが、ブランドコンセプトを教えてください。
上田:「子ども想い品質」をモットーに、お子様の体を第一に考えたうえで品質のいいものをお届けしたいと思っています。
そのためにさまざまな品質試験を実施しています。
耐久性をはかるものや有害な物質が使われていないかとかいう試験も行っているんですよ。
── セイバンならではの製品の機能などはありますか?
上田:やはり「天使のはね」ですね。
天使のはねランドセルの「天使のはね」は、実は機能の名前なんです。
石田:普通のリュックを見ていただけると、背負っていないときには肩ベルト部分が寝ていますよね。
「天使のはね」機能がついたランドセルの肩ベルトには、付け根の部分にベルトを立ち上げるためのパーツがついています。
このパーツによって、手を放しておいても肩ベルトが自立するんです。
── くっと立ち上がっているのが、一目でわかりますね。
石田:肩ベルトの付け根が、立ち上がっていることで、ランドセルの重心が上がるんです。
そして肩甲骨のところでピタッと密着するのでランドセルがまっすぐになります。
── セイバンのランドセルには、全部この機能が付いているんですよね。
上田:はい、全部付いています。
先ほどお伝えした、安全面に関しての反射材ですとか、荷重がかかると外れる側面のフックなど、すべてのランドセルに搭載されています。
A4フラットファイルサイズにも全商品対応しています。
── セイバンでランドセルを購入した場合、購入後もランドセルに関する相談に乗っていただけますか?
石田:もちろんです。気になることがあればお電話いただければ、お伺いさせていただきます。
── セイバンは6年間保証してくださるとのことですが、修理などもお願いできるのでしょうか。
石田:はい。修理期間中は代わりのランドセルの貸し出しも無料で行っていますので、預けていただければと思います。
ランドセルのプロフェッショナルの想い
── 最後に、ランドセル販売という仕事に対するお二人の想いを聞かせてください。
石田:ランドセルコンシェルジュというからには、ランドセルに関する質問をたくさん受けているかと思われるんですが、実はそれ以外のお話をしてくれる方もたくさんいます。
何回かやり取りしたお客さまに、「関係ない話まで聞いてくれてありがとう」と言われたときは、心底よかったなという気持ちになりましたね。
もちろん、ランドセルに関することも可能な限りご要望に対応していきたいと思っているので、気軽に相談していただきたいです。
上田:ランドセルは約250ものパーツを職人さんが手作業で作るなど、たくさんの人がお子様たちのことを第一に考えながら製造にあたっています。
1つの鞄にこれだけの人がかかわっていることはなかなかないので、そこに自分自身も携われることはこの仕事をしていてよかったな、と思うところです。
── 6年間使い続けるランドセルは、その子の小学校生活をまるごと背負う大切な鞄なんですよね。
石田:毎日お守りのように背負って通うわけなので、その重要なランドセル選びに携われることをうれしく思っています。
2018年4月に小学校入学予定の子供向けの「2018年度モデル」は、2017年4月1日(土)から発売開始。
セイバン直営店では、22モデル72アイテムの新製品が店頭に並び、豊富なラインナップの中からランドセル選びができます。
2017年4月28日(金)には、関西で2店舗目となるセイバン直営店「セイバン三宮」がオープン!
もちろん、ランドセルコンシェルジュも常駐しているので、近隣の方はぜひ一度店舗に足を運んでみることをおすすめします。
記事を書いた人

いいね ! しよう