NPO法人 日本ファイナンシャル・プランナーズ協会(日本FP協会)は、2017年1月19日に「老後とお金に関する調査」の結果を発表。
日本全国の20歳以上の男女、1200人を対象としたこの調査では、老後の生活資金について「不安に思う方」と「不安に思わない方」の不安別統計データを公開しています。
この調査回答から、幅広い層の老後資金についての意識や、不安解消のための取り組みなど、現代人のマネープランの現状が浮き彫りになってきます。
老後資金に関する情報収集に最も活用されているのは、不安に思う方と思わない方のどちらも「テレビ」でした。
次いで多かったのが「インターネット」「新聞・雑誌」で、身近なメディアから目に入った情報を把握する傾向が強いことがわかります。
また、不安に思う方は新聞・雑誌よりもインターネットからの情報収集が5%ほど多いという結果となり、より能動的に幅広い情報を素早く集められるネットを積極的に活用しているようです。
それに対して、「セミナーに参加」「FP(ファイナンシャルプランナー)の有資格者に相談」など、かなり積極的なアクションを行っている方はわずか2%前後。
老後の生活資金を不安に思う方でも、お金のプロや専門家にマネープランを相談して情報を得るまでには至っていないのが実状です。
不安に思わない方は、45.3%もの人が「何もしていない」と回答していて、老後資金に対する意識がかなり希薄なことがうかがえます。
年金以外に準備してる老後資金については、不安に思う方も思わない方も「預貯金(定期預金含む」で準備する」という方が最も多いという結果でした。
注目したいのは、最多回答だった預貯金での準備とわずか1.2%差で2番手となった「老後も働く」という回答。
高齢化社会が進むにつれて、定年を過ぎても現役として働き続ける方や、何らかの仕事をする方が増えてきた現状を踏まえると、その考えもひとつの手ではあります。
しかし、自分が何歳まで働けるかは確実に考えれられるものではありません。
これから社会人経験を積む若年層や、幼い子供のいる子育て世代などは実感しきれない部分もあるかと思いますが、年齢を重ねるにつれて体力や健康面での弊害も出てきます。
老後に働けないどころか治療費の負担ばかりが増え、家計が大幅なマイナスになる可能性があることも念頭に置きましょう。
日常生活の中で老後に備えた貯蓄のためにしている工夫や取り組みをしているか、との問いの最多回答は、なんと「特に取り組んでいない」でした。
とはいえ、不安に思う方は「毎月金額を決めて計画的に貯蓄している」という回答と大差ないパーセンテージではあります。
食費や光熱費、趣味・娯楽・交際費、通信費などの節約を行っている割合は、老後資金が不安だと思わない方よりも5~10%程も多いという結果に。
反対に、不安に思う方より思わない方のほうが上回ったのが、「家計簿を毎月つけている」という回答。
不安に思わない方は小さなことから少しずつ意識し始めているようですが、不安に思う方はより実践的な節約や備えに取り組んで老後に向けたお金を確保し始めていることがわかります。
不安の有無に関わらずお金についての悩みで多かったのは、「老後の医療費や介護費がいくらかかるかわからない」とういこと。
さらに、不安に思う方は「貯蓄ができない」「年金がもらえるのか心配」「老後資金が準備できるか心配」など、そもそも貯金できないことや老後の収入想定ができないことに悩んでいるようです。
将来の日本の年金システムの先が読めないからこそ、大きな不安がつのっていると考えられます。
結婚・出産など家族が増えるタイミングでマネープランを見直す方はいますが、老後の生活を見据えた具体的な長期プランまでは立てていない方は少なくありません。
「まだ早いんじゃないの?」などという楽観的な考えは禁物。気づいたときにはもう老後を迎える年になるなんてことも。
また、それぞれの状況や家族構成によっても必要となる老後資金や準備が大きく異なります。
特に家族構成が変わるときは、しっかりと将来の計画を立て直してマネープランを大きく見直すチャンス。
自分は老後をどのように過ごしたいのか、どのくらいの生活費があれば充分な暮らしができるのか、夫婦や家族間でじっく話し合ってみることも大切です。
老後の資金計画を早めに行い、より具体的な準備をしておくことが、充実したセカンドライフ実現させる近道です。