会社も子育てに参加せよ!心理学博士・山本先生の画期的新提案
出産と同時にスタートする子育て。あれもこれも求められるママの役割に、想像していた以上の大変さを感じる女性は少なくありません。
そんな新米ママや働くママを、女性に優しい視点で応援するのが、子育てフィロソフィ代表の心理学博士・山本ユキコ先生です。
自身も働くママとして苦労した経験を生かして、出産や子育て、ママケアなどの心理学研究を進めるかたわら、書籍の執筆、母親向け心理学講座の講師、企業向け研修の講師など、幅広い活動を展開中。
会社も子育てに参加し、子育てする女性の負担をもっと軽くしてほしいと訴え、企業に働きかける活動に、大きな期待が寄せられています。
今回は、そんな山本ユキコ先生の活動内容を詳しくご紹介。子育てする女性に元気と勇気を与えてくれます。
子育て問題を企業に向けて発信
──心理学博士として、子育てに関する取り組みをされているとのことですが、具体的な活動内容について教えていただけますか?
今は企業向けに、子育ての研修や子育ての理念をつくるという活動をメインとしています。
──母親向けではなく、企業向けなんですね。
心理学の研究職を10年やった後、母親向けに子育て教室や執筆活動などを展開したのですが、母親のためにできることの限界を感じたためです。
これらの活動は結局、お母さんの自己努力に任せてしまう形になってしまうため、このままでは子育てに関する問題の根本的な解決にならないと考えました。
──子育てに関する問題とは?
子育てがきつかったり、しんどかったりするのは、お母さんへの負荷が大きすぎるせいだと思うんです。でも、父親向けに本を書き、研修をしようとしても、なかなか届かない。
必要なところに伝えたい情報は届かないし、それではお母さんは孤立から抜けられないし、今の活動を続けていても、子育ての問題解決はちょっと難しいなと感じたわけです。
企業にも子育てをしてもらおう
──そこで企業に注目されたんですね。
今のお母さんたちって、子どもを産む前は働いていた方がほとんどだと思うんです。
一方、子育てというのはもともとチームで行うべきものが、ここ数世代のうちに「母親が一人でするもの」になり、生物学的にもしんどい方向に向かってしまいました。
そんな子育てを、どうしたらチームのかたちに戻せるかと考えたとき、注目したのが企業です。企業が子育てを、もっとチームでやっていく。
例えば、子育ての一番しんどい新生児期は、企業からシッターさんの派遣を手配するとか、育児休暇の復帰後は、その方の子育てを企業にもしてもらうとか。
──企業に子育てをしてもらうとは?
仕事でも、子育てでも、自分でなければいけない時ってありますよね。
例えば、子どもが熱を出した時、母親業として自分が子どもの元へ行かなくてはいけないと判断したとします。
同時に、別に自分が出席しなくてもいいよねという会議が重なった場合、その人は母親としての役割を果たすために、熱を出した子どもの元に駆けつけ、企業側ではその人の仕事のケアをするということが可能なはずです。
逆のパターンもありますよね。この会議はぜったい自分が出席しなければならないという時に、子どものお迎えの時間が重なったとします。
でも、子どものお迎えは別に私じゃなくてもいいよねと判断した時は、仕事の同僚が代わりにお迎えに行ってあげるとか。
企業にしてほしいことは、子どものお迎えを会社の皆がチームとしてやっていくなど、具体的な取り組みを進めてもらうことが一つ。
そしてもう一つは、子育ては母親が一人でするものではなく、チームでするものなんだよという研修を入れてもらうこと。
この二つを実行してもらうことで、子育ての問題解決に近づくと思うんです。
子育て問題は、本当は国が乗り出すのが一番いいと思うのですが、そこまでの働きかけをするのは、まだ私には手が届かないので、まず企業向けに、チームでする子育て支援を普及するために力を貸してもらえないかなという活動を始めているところです。
社会の意識を変えていきたい
──今はどんな企業で、どんな形の活動をされているのでしょうか?
最近、初めて形になってきたところなんですが、九州のガス会社「西部ガス」さんの社内報に出させていただき、情報発信をしたりしています。
紙面上で、子育ての理念や、チームでライフワークバランスをとることの意義などをお話させてもらっています。
今、こうした企業の方が長時間労働を是正するなど、いい流れがきているので、さらに子育て問題についても考えるようになってほしいですね。
チームで、会社で、子育ても助け合えることは助け合っていこうよという意識が広がれば、お母さん一人ひとりに情報を手渡しするより早く、子育てをしない父親や、自分一人で子育てをやりきるのが良妻賢母よと思っているお母さんたちにも、私たちの理念が届きやすくなるのかなと思い、活動しています。
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